茶色の不安 逆転する状況?
「これで終わったのか?」
現在、土屋 奈々は悩んでいた。巨大な隕石の落下による攻撃が成功した後、雪白 透の気配を感知できなくなったからである。
隕石はきちんと狙ったところに落ちたし透の動きを止めていた重力魔法は解除された感じも抜け出された感じもなかった。
そしてあの隕石が直撃したのならいくら透でもダメージを受けすぎてこの空間から強制脱出させられているはずだ。
だけどやっぱり気になる。気配がないのは本当に強制脱出させられたからか?そう見せかけているだけじゃないのか。なんといっても透はあたしから鈴を取ればいいだけなんだ。
気配を消して忍びよればその分アイツのリスクは減っていく・
考えてみよう、あいつはどうにかさっきの攻撃を防ぐことができるのかどうかを。
まず《大暴投》の魔法を防ぐ手段があったのだろうか?《テリトリー》の対策として精密なイメージができないように細かい部分での認識を妨害するようにしていた。
そもそも《大暴投》はあたしが最初に使った転移魔法のことだ。あらかじめ作っておいた巨大な岩石を上空に転移させる。それがさっきの攻撃だ。
つまり魔力を吸い取って魔法を消し去るということもできなかったはずなんだ。さらに言えば今アイツは『聖剣』を持っていないから服にして防御することもできない。
ここまであいつが防げた可能性を否定することができるのに全然安心できないってのはどういうことなんだ?まったく、あいつの実力をそれだけ評価しているんだろうけど!?
「《土壁》!!」
少しの違和感から危機を感じ取り魔法を使った彼女の判断は間違ってはいなかった。
彼女が魔法を使った直後、何かが飛来し彼女の作った壁に突き刺さり止まったのだ。
「ちくしょう、やっぱ倒せてなかったのか!!」
しかも今の攻撃からあいつの位置を読み取れなかった。このままじゃあ狙撃され続けて負ける………まさかあいつさっきの意趣返しのつもりか!!
自分はあれに耐えれたがお前はどうかな?とでも言いたいのか!!
いいぜ受けてやるよその挑戦!!
「来い、透!!」
「いやはやすごい戦いだなあ」
「本当ですねえ」
正直言って国立の魔法学校とはいえライトたちと対等に渡り合える生徒が通っているとは思っていなかったのだがその予想は見事に覆されてしまった。
まあ他のところを見てからになるが知り合えた先輩もいることだしこのままだとここで決まりかな?
やっぱり自分の子供たちには幸せな生活を送ってほしいからな。