白の完敗 落ちる隕石
システムチェック………魔力伝達回路2番から5番までを追加接続可能
弾数確認………通常弾5000発、特殊弾各100発
魔力注入………魔力伝達回路1番から5番まで注入開始
注意・貯蔵魔力が不足する可能性があります。『流星』から魔力を吸収しますか?《YES/NO》
砲撃準備………完了まで残り94秒
《流星軍》全機能解放完了まで残り189秒
《流星軍》を使えるようになるまであと3分近くかかるのか、まずいな。
今の状況を変えようと使うことを決めた《流星軍》だがそれが裏目に出てしまっている。
どうしてこうなったんだろうか。
上空に巨大な反応が生まれたのを感知したのは僕が《流星軍》を発動させたすぐ後だった。この空間は本物の世界ではないので偶然隕石が落ちてくるということはなく間違いなく奈々の魔法か何かだろう。
そして今一番困っていることは『流星』が使えないことだ。
《流星軍》を使うにはその準備が完了するまで『流星』が使用できなくなるし途中でやめようとしてもまた使用不能時間ができてしまう。
いま僕が持っている手札の中で唯一あの隕石を破壊できそうなものが使用不能、しかも《流星軍》の発動よりもこのままでは隕石の衝突のほうが早いという事実は少なからず僕から冷静さを奪っていった。
そのせいで僕は奈々の次なる手に全く対応できなかったのだ。
「な!?」
体が地面に沈む。立っていられなくなるほどの重力を加算された僕はなすすべなく動きを封じられた。
さらに言えば顔面から地面に叩きつけられたので上の隕石を視認することができなくなっている。
どうしようか。せめて『聖剣』があれば何とかできたのだけれどあいにく今はわけあって全部持っていない。
『黒札』ではあの巨大な隕石を止めることはできないし《狂装白衣》でどうにかしようとも隕石に対して細かい部分での認識阻害がかかっているようで細部をイメージすることができないために使えない。
奈々は見事に《テリトリー》関連の弱点を見破り、きちんと対処していたのだ。
………今回の戦いでは奈々に主導権を渡しっぱなしだなあと反省を少しした後、隕石の到達時間と《流星軍》の発動時間を再計算する。
そしてやはり間に合わないことを確認した僕は諦めることにした。今回は奈々が上手だったし僕が甘くしていたのが悪い。
だからこの隕石を受けるのは僕の罰なのだろう。
そうして隕石を防ぐことも逸らすことも諦めた僕は変わらず地面に押し付けられたまま時間を過ごした。
そうして隕石による攻撃をその身に余すことなく受けたのだった。