茶色の悲劇 のち激怒
「………」
「………」
非常に気まずい。まさか本当に子どものように祭りを楽しんでいたとは思わなかった。
とはいえそろそろ試練を始めてもらわないとライト君たちに悪いので声をかけようか。
「奈々」
「透」
「「………」」
なんでここで被るかなあ!!余計気まずくなったじゃないか。
「すみません、そろそろ試練を受けたいのですが」
おお、さすがアーサーさん、お父さんはこんな時でもしっかり行動できるんですね!!
「あ、はい。それじゃあ試練場に連れて行きますね。《解放》」
試練場『土変わる草原』、当然のことながら僕はこの試練場の内容を少しは知っているのだがどうにもあれから変えられたようだ。
まあ奈々も魔道具の知識はあるので魔道具の基礎となる部分が分かればそれを改変する事なんてたやすいだろう。
僕は瞬の戦闘力は見誤ったけれど奈々の魔道具に対する才能はきちんと適正評価できていると自信を持って言える。
「それじゃあ試練の内容を発表します」
「お願いするよ」
「あたしの試練内容はこの鈴をあたしから奪うことです。参加人数の制限も魔法や魔道具の制限もなしですが制限時間を設けます」
なるほど奈々の試練はそういうものなのか。まあ奈々なら最悪自分の周りを土で囲めば鈴を奪うのは難しくなるだろうし、壁の強度を変えることができるなら相手による難易度調整は簡単だろう。
「ではこちらは全員で挑戦させてもらいたいのですがいいですね?」
「父さん!?」
「もちろんです。ちなみにこの空間は半径1キロの面積しかありませんがその範囲内の地面と上空はほとんど終わりなく続いています」
アーサーさんは瞬との戦いには参加しなかったからどれほどの実力かは分からないが同じ茶髪の人間として奈々の実力とこの試練場による実力の底上げなどをある程度感じているのだろう。
しかし同じ茶髪でも弟のフレッド君はまだそこまでは分からないようだ。まあまだ中学生になったばかりだしそれが普通かな。
しかし、こういう時奈々の見た目はある意味武器になるよな。彼らもフレッド君にデイジーちゃんそれとマーガレットさんはアーサーさんに抗議している。
どうやらあんな子を大人数で襲うなんて(ここは本来戦うというべきだろうに)と言って渋っているようだ。
まあそんな会話を本人の目の前で行えばどうなるか………まあそんなのはわざわざ言わなくても大抵の(奈々のことを知っている)人はわかるだろう。
「てめえら本人目の前にしてよくそこまで言えるな!!」
結論、奈々がキレた。