最初の試練 ………独り身はつらいよ
「おーいナイ、案内してもらえるってさ」
「本当、それはよかった」
金の子が僕に対するのとは違い親しそうに黒の子に話しかけるのを見て内心残念に思いながらおそらく彼の両親であろう人たちに会釈する。
そして金の子が手を振って呼んでくるのでとりあえず自己紹介を行い瞬を探すことにする。
自己紹介の結果、金の子はライト、銀の子はルティ、黒の子はナインといい僕が彼らの両親だと思った人はルティとナインの実の父ではなく養子であり後の子供たちは実の子ということだった。
養子と言っても愛情は差がつくことなく与えられておりとても幸せそうな家族だったので僕としてもうれしい、と言えば変かもしれないがまあ雪白ということで納得してもらいたい。
しかし彼らは人目を集めやすく非常に目立ってしまうのでこのままでは『試練』がばれてしまうので『隠密』の魔道具で目立たないようにする。そうして準備を万全にしてから再び瞬を探しに動いたのだった。
それからしばらくして彼らと少し仲良くなった時、僕は瞬を見つけたのだった。………夕日さんと一緒にデートをしている瞬を。
「ライト、あそこでいちゃついてるカップルの男のほうが君たちが捜している人物だよ」
「あれがか、じゃあ声をかけてくるよ」
「で、どうして透君が一緒にいるんですか?」
ライトが物怖じすることなく(末っ子の女の子デイジーちゃんは少し怖がっていたが)瞬に話しかけ試練を受けさせてもらうことになったので彼の近くに集まったのだがそこで瞬は僕が一緒にいることに気付いたようでこんなことを聞いてきたので僕は素直に答えるとする。
「遊び心のなせる技さ」
その答えにひどく疲れたような反応を返す瞬だがその隣にいる夕日さんが『大丈夫?』と心配しているので僕は何も思わないことにする。
「ではあなたたちで一グループと考えて試練を行ってもいいですか?」
「ああ別にいいよなみんな?」
ライトがみんなに聞くがそれに反対する人はいなかった。僕以外はだが。
「では透だけ別で扱いますよ」
「それで構わないよ。久しぶりに僕と戦ってくれるよね?」
「ええ、しかしその前にライトさんたちの相手をしますけどね。………朝日さんすみません」
「大丈夫です。お仕事がんばってくださいね」
………いいなあ。
「では私の試練場へ皆さんを連れさせてもらいますね。『試練解放』!!」
「うわっ!?」
「これは!?」
「すごいねえ」
そうして僕たちは瞬の試練場『風吹く荒野』へと魔道具によって転移されたのだった。