文化祭準備編 開始!!
「第1高校としても勇者のいる第2高校と体育祭で交流を行えるのなら十分なメリットがあると判断したんだろうな。そういうわけで体育祭は11月の後半か12月の初めにやることになり、文化祭を先に回したんだ」
分かったか?と聞いてくる先輩に僕は少々反応できず、またその後口を開けはしたが何を言うべきか悩み、そして楽しみですねと言うだけに終わってしまった。
………間抜けすぎるだろう僕は。
「ところで自分から話しかけてなんだが俺と話していてよかったのか?お前のクラブはまだまだ準備に忙しいのではないか?」
「いやそれが、部室のドアが消えていてどうやって入ったものかと………」
「何を言っている、ドアならそこにあるだろう」
「へ?」
そう言って指をさす先輩だがやはり僕の目には壁しか見えず、触ってみるがやはり壁の感触しかしない。
先輩のほうを見るがなぜか僕がおかしな人であるかのような目で見ているので心がすさまじいほどに傷ついたのだが、どうやらその甲斐はあったようで先輩も僕の言っていることを信じてくれたようだ。
先輩は壁にしか見えないそこをノックした後、少し待ってからドアを開けるような動作をし、そして僕の視界から消えていった。
「!?」
………落ち着こう。とりあえず深呼吸をしよう。
………落ち着いた?それじゃあ考えようか。『真実の聖剣』を使うかどうか悩んでみようか。
ポク、ポク、ポク、ドゴーン!!
「グベッ!?」
ナニこれ、なんで目の前が筋肉ーーーーーーーーー!?
「いつまでも入ってこないなんてそんなに反省しているなら早く謝ってくださいよーーーーーーーーーー」
5分ほど行われた圧殺処刑(瞬が僕を抱きしめて殺しかけた)は結果として何も残らなかった。
あまり見たくなかった光景ではあったはずなのだが周りにいた人たちは変わることなく自分たちのやっていることをやり続けていた。
そして僕は無意識で魔法によって身体強化を行っていた瞬に殺されかけては蓮が回復の魔法をかけて元に戻すというループのせいで体的には何の問題もないが精神的にズタボロにされたのだった。
「それでどうして僕にだけドアが見えないように魔法をかけたのさ」
「文化祭で使えるか試したまでよ。《テリトリー》は我もまだ完全に把握できていないがゆえにこうして実験を行わなければならぬのだ」
というように僕の目にドアが見えなかったのはディアが《テリトリー》でドアの部分を壁だと感じさせていたのだ。
これが僕の初めての文化祭の始まりだったのだ。