白と茶の決着
雪白 透と土屋 奈々の戦いは終わりを迎えた。
そこには一人の勝者と敗者が存在したのだが勝者は傷を負うことなく、敗者は体中に火傷の跡ができ倒れこんでいる。
そう、リーダーが乱入することにより2人の勝負は透の敗北という結果で終わったのである。
ちなみにリーダーは今倒れている透を蹴って遊んでいる。
先に透にやられていた蓮たちは禁が魔法を使って助けていたために意識がないだけで助かっていた。
「北条さんのおかげで蓮たちは助かりました。ありがとうございます」
「いえいえ仲間ですから助けるのは当たり前でしょう?」
「それでもありがとうを言わせてください」
奈々が心から感謝しているのを読み取った禁は笑顔を浮かべて思いついたことを奈々に話した。
「それでは私のことを名前で呼んでもっと普通に話してください」
「えっ、でも」
それを聞いて動揺する奈々を見て禁はより一層笑顔を増していく。
「ダメなんですか?………そうですか私なんかとは親しくなりたくないですよね、すみませんでした」
顔を暗くして目元に涙を浮かべながらそういう禁に奈々は焦り始め急いで話しかける。
「ち、違います!!むしろ蓮たちを助けてもらった礼が友達になることでいいのかとか、あたしのほうが禁さんと友達になりたいというか、ええと、あの、フギュッ!?」
「ああかわいい!!もう本当にかわいいんだから!!これで私の先輩だなんて信じられない!!」
あわてる奈々のかわいさにウソ泣きをやめ奈々に抱き付く禁。幸せそうな禁だが抱きしめられている奈々は禁の普通とは違うほど大きな禁のある場所に顔を突っ込んでいるため呼吸ができずに苦しんでいた。
そんな2人を横目に見ながらリーダーは透を蹴るのをいったん止め、何をされたのかを調べ始める。赤の属性色しか使えない彼女には人の内面などを調べる魔法はあまり得意ではないため時間はかかるが透を捕まえた以上、時間をかけても問題はないと判断したのだ。
調べつくしたリーダーはいちゃついている(一方的に)2人を呼び、透がどうなっているかを説明し始めた。
「つまりコイツは自分の過去を殺人マシーンだと上書きしたということですか?」
「そういうこと。こいつの記憶を戻すのはとりあえずここから出てからになるな。私の知り合いに精神に関する魔法の使い手がいるから元に戻らないことはないと思うがな」
しかし話の内容とは違い、彼女の顔は暗い。何か心配があるのだろうと思っても話してこないということは少なくとも自分たちにはどうしようもできないということがわかっている2人が聞くことはなかった。
そうして悠と黄色を探すためにリーダーが空間に穴をあけ出て行った彼女たちは荒れ果てた学校と倒れている2人を見つけたのだった。