『愛情』と『憎しみ』の最後
真っ白な空間で2人の男性と1人の女性が戦っていた。2人の男性は双子の用にそっくりな姿をしていて、また連携もよく大抵の相手なら倒せるほどの実力者たちだった。
しかし残念なことというべきか彼らの相手をしている女性は普通ではなかった。真っ赤な炎の色をした髪を持つ彼女はそもそも彼らの接近を許さなかった。
自分の周りを常に炎で覆っておきながら彼女は炎で遮られて周りが見えていないはずなのに白い炎を飛ばして攻撃してくるというとんでもない戦い方を行っていた。
当然2人の男性…雪白 透たちは魔道具や《狂装白衣》などを使い攻撃をしようとしていた。しかし魔道具は水を飛ばせば蒸発し、重力でつぶそうとすればなぜか重力を操作していた魔道具が燃やされ、《狂装白衣》もなぜか通用することはないという結果が出てから彼らは逃げ回るという選択をしていた。
通常ならば『滅びの聖剣』などを使いこの状況を変えようとするのだが、いま彼らの大本とのリンクが不安定になっていて聖剣を呼ぶことができないのだ。
そういうことで逃げ回ることによる時間稼ぎを選択したのだがそれも成功しているとは言えなかった。
「あと少しだな」
私でもこんなに手こずるのだからほかの奴なら危なかったなと彼女は思う。
驚くべきことに彼女は絶対的な防御と間断のない攻撃を行いながらこの空間から脱出するための魔法も使っていたのだ。
本来この規模の魔法を使い続けていれば数分もすれば周りの魔力と属性色を使い切ってしまうはずなのだが彼女の魔法はそれらの使用量が圧倒的に少なかった。
もし透たちが赤の属性色を使う魔法が使えたのならば彼らが魔法を使うことで彼女の魔法を使えなくすることもできたかもしれないがそれもできない。
だからその瞬間が訪れたのは必然だった。
「それじゃあそろそろアイツらのところに行くか。《真炎の弔い》!!」
「あれ?これはちょっとまずいんじゃないかな?」
一人の疑問にもう一人が頷いて答える。
「《狂装白衣》で止められない?」
今度は首を横に振って答えられた。
「それじゃあ僕たちがギリギリで助かるように《狂装白衣》を僕たちに使うのはどうかな?」
少し時間を空けてから頷く。
「そうか、それじゃあこれが僕たちにできる最後のことだね。君だけでも普通に助けたかったけれど」
彼の話を遮ってもう一人が首を振る。
「………そっか、君と会えて僕はうれしかったよ。またいつか会おうね」
頷こうとした彼は途中で頷くのをやめ口を開く。
「…ま…た、会おう………」
彼が話したことにもう一人は驚いた後笑顔になり。
「君がそんなことを言うのを聞けるなんて役得だね」
そうして彼らは笑顔で白い炎に包まれた。