さらなる分断 6人から4人へ
side 黒羽 蓮
「《正装白衣》?」
初めて聞いたけど新しい魔道具なのだろうか。それにしても特に何かが起こった気はしないのだけど。
「なっ!?」
「どういうことだっ!?」
「これはもしかするとー」
しかし私には感じることのできなかった変化を北条さんや茜ちゃん、奈々ちゃんは感じ取ったようで何かに驚いた声をあげていた。
「いったい何があったんだい?」
「………私の魔法が使えなくなったみたいなの」
魔法が使えない?私も急いで試してみたが確かに魔法が使えない。いや、使えないというわけではなく魔法を使ってもその効果が表れてこないといった感じがする。
その証拠に魔力を体に取り込むのも、変換して放出するのもしっかりと感じ取れている。
だからこそ今の状況は異常だとしか思えないしどうなっているのかを早く理解しなければとてもまずいことになると私の勘が告げている。
「こうなったら彼の相手は私がします。みなさんは先に進んでください!!」
「了解!!」
「頑張って!!」
自分を置いて先に行けという北条さんとそれを聞いて迷うことなく走り出す悠ちゃんと黄色さん(この人だけ紹介されなかったのでいまだになんと呼べばいいのか悩んでしまう)だが、私たち3人は一瞬ためらってしまった。
彼女を1人にして大丈夫なのかと。
そして彼はそれを見逃すような人ではなかった。走り出した2人の姿は気が付けば消えており、私たちは4人と2人に分断されたことに気づいたときにはもう手遅れだった。
「いやはや、禁ならそう言ってくれると思っていたよ。そしてその言葉にすぐに従えるのと従えないのもいることは予想できていたよ」
「くっ!!でもそれなら私たち4人であなたをすぐに倒せば!!」
「それも意味はないんだよ。なんといっても悠と黄色を移動させたのは僕じゃないからね。僕を倒したってどうにもならないのさ」
その言葉を聞いて私たちは完全に掌の上だったことに気付かされた。
これから私たちがするべきことは彼を倒すことじゃなくてどうすれば2人と合流できるかを見つけることだが、それをさせてもらえるか………
「そういうことなら私たちはあなたを放置して先に進むとしましょうか」
「どういうことですか北条さん?」
何か気づいたことがあるのだろうか。
「そもそもここにいる人を移動させることができるなら今すぐ私たちをバラバラにすればいいと思わない?」
確かにそうだ。それなのにそうしないということは………
「しないんじゃなくてできない理由があると思ったほうがいいですよね」
その言葉を聞いた彼は嬉しそうに笑ったのだった。