推理人 紫原 瞳?
side ディア・アーノルド
「あらら、いきなり現れたかと思ったら黒羽さんたちごと消えちゃった。この学校は転移系の魔法が使えないようにしてあるはずなのにどうやったのかな?」
「………そんなおいていかれるなんて」
片方は転移ができた事実に興味を示し、もう片方は置いていかれたことにショックを受けているのか。
まあこの2人はほっといても国に被害を与えるわけでもないし、我は帰るとするか。
「ディアさん、こうなったら私たちも彼女たちをどうにかして追いましょう!!」
「いや我はもう家に帰って明日の授業に備えるつもりなのだが」
「何を言っているんですか!!透君が危険な目にあっているかもしれないんですよ、いま助けに行かなくてどうするんですか!!」
こやつはこんなキャラだっただろうか?何やら別の人間が乗り移っているかのように思ってしまうな。
まあ今は同じクラブの仲間であるし、少し落ちつかせるとするか。
「落ち着け瞬、そもそもあの女が貴様を連れていかなかったのは貴様を連れていけない何らかの理由があったのだろう。というか貴様を連れていくことができるなら蓮たちのように問答無用で連れ去られたことだろう」
「それは、確かにそうかもしれませんけど!!」
「まあまあ風宮君落ち着いてくださいよ。とりあえず現状を確認してみましょうよ」
「紫原さん?」
ほう、わざわざ関わってくるか。まあ紫原が関わるなら我が家に帰ることのできる可能性も多少は増えるであろうし、ここは好きにさせてみるか。
「私も何がなんだかわからないけれど、そんな時だからこそ落ち着いて何が起こっていたのかを知るべきだよ」
「しかし何が起こったかを知るも何も事情を知っていそうな人がもうここにはいないんですよ」
瞬の言う通り、今ここには透の体も透を燃やしたあの女もいないのだ。それでどうやって知ることができるのだろうか。少し興味がわいてきたな。
「まずは自分が見たことの確認からしていこうよ」
「見たことの確認ですか?」
「そう、まず雪白さんの体が火に包まれたのは見たよね?」
「ええ」
「ああ」
「でも火が消えた後、体はどこも燃えていなかった」
「そういえばそうですね」
「しかも一度は燃やしたはずの体を黒羽さんたちと一緒に転移させた。これはどうしてかな?」
「………確かに言われてみれば気になりますね。ちなみに紫原さんはもう何が起こったかわかっているんですか?」
「全然わかんない!!」
「ってわからぬのか!!」
こやつは本当に使えるのか?