消えた白 新たな展開 (予算どころじゃなくなりました)
「おいおいディア、僕は紫原さんを弟子にしないと言ったばかりじゃあないか。それとも君は僕がさっき言ったことを少しも聞いていなかったのかい?」
「いや、もちろん聞いていたとも。そのうえで紫原を鍛えるのはどうかと言っているのだ。なんといってもこやつは世にも珍しい2属性持ちなのだ。少し鍛えてやるくらい問題ないとは思わんか?」
「問題があるに決まっているじゃあないか。確かに彼女は珍しい人間ではあるけどただそれだけだ。僕にとっての『特別』に入るわけでも『大切』に入るわけでもないただの人間をわざわざ鍛えるわけがないだろう」
全くディアは自分が得するためには手段をあまり選ばないからダメなんだ。手段を選ばない人間に従わないやつもいるってことをここらで知っておくべきだろう。
「えーと、本人を前によくそこまでいえますね………」
「だからさっきも言った通り僕にとって君はどうでもいい存在なんだよ。だから君がどう思おうが知ったこっちゃないね」
「透君何かあったの?」
「………なんだいいきなり」
「だって透君らしくないじゃない」
「そうですね」
「確かにな」
「はいー」
イラつく、何も知らないくせに、何もできないくせに、何か助けになれるかのように、僕を仲間だと思っているその心に、そのすべてに殺意がわく。
だから僕は笑えばいい、いつもみたいに笑って騙せばいい、それが僕だ、いつもみたいに、いつもみたいに、いつもみたいに………
「この馬鹿野郎が」
僕の意識が消えていく、何が起こったかを認識できずに、僕の抵抗なんてないかのように、僕の存在は否定され、僕は………
side 黒羽 蓮
「透君!?」
透君の何かがいつもと違うと思った私はどうしたのかを聞こうとしたが、その瞬間に透君の体が白い炎に包まれた。
それを理解した瞬間に私は消火の魔法を使おうとしたのだが、それよりも先にこの部屋にわたしの知っているこの部屋にいるはずのない人がいることに気付いた。
「この馬鹿野郎が」
「「「「リーダー!?」」」」
「誰ですかこの人は?」
そうそこには私たちの入ることが決まっているギルドでリーダーと名乗った(というか実際ギルドマスターなのでリーダーなのだろう)人だった。
「ディアありがとうな、お前が教えてくれなかったら取り返しのつかないことになってた」
「礼を言うほどでもない、我も考えがあってお前に教えたのだしな」
「そうか、それじゃあ感謝その他はまた後でだ。蓮、茜、奈々今すぐ透を連れ戻しに行くよ」
「ちょ、ちょっと待ってください!!いったい何を」
「行くぞ!!」
何がどうなってるのよ!?