世界の真実(仮)
「ほらほらそんな身構えないで、リラックスリラックス」
「そんなのができるわけないだろう。だいたい昔に滅んだ一族なんて言っている時点で」
「君は勘違いしているよ」
「信用できるわけが、なんだって?」
僕が何を勘違いしているというのだろうか。勘違いする余地なんてないほどに今の世界は新しいというのに。
「うーん、それじゃあまずは君の誤解から解くとしようか。この世界はね元々今の状態が正しいんだよ」
「なんだって!?」
「正確に言うと昔の人たちが魔物やダンジョンに恐怖を覚えて祈ったのさ『平和な世界にしてください』ってね。そしてその願いがかなってできたのが100年前までの世界なんだよ」
「それが本当ならどうして世界は元に戻ったんだ?」
最低でも2000年は保っていたものが今更壊れたとでもいうのだろうか。いや、そもそも世界を変えるなんてことが祈っただけでできるものなのか?
「それはだね人々が願ったからだよ『刺激が欲しい』ってね。その願いが昔世界を変えた魔法に干渉して元に戻ったのさ」
「待てよ!?ということは何だ、世界を変えた魔法は一回変えて終わったんじゃあなくて世界を変え続けていたっていうのか!?」
「そうだよ、魔法が人々の願いを聞いてその総意をかなえ続けてきたんだよ。だから人間は科学なんて言う武器を手に入れることができたんだよ」
そんな、こいつの言っていることが真実なら、いや真実なんだろう。それに今の僕が知るべきことはそんなことじゃあない。
過去に滅んだ一族のことを聞き、なんとしてでも雪白一族が同じ道をたどらないように手を打つことこそ行わなければ………!?
「おっと伝え忘れていたけど名伏君はここに来れないからね。もし彼が来ないことに違和感を感じているなら気にしなくてもいいからね」
「今になって思い出すなんてタイミングが良すぎるだろ」
「タイミングって何のことだい?」
こいつ本当にむかつくな。しかし名伏が現れないのはこいつが関係していると考えておけばいいみたいだし、そもそもこの場にいないやつのことを考えても仕方ないか。
「それで?いつになったら昔に滅んだ一族とやらの話を聞かせてもらえるのかな?」
「まあまあ落ち着いて。人生には余裕が必要なんだよ。まあ100年前の人たちは余裕を持ちすぎたから今の世界に戻してしまったのだけどね」
「その話を聞いて余裕を持てると思っているのか?」
「さあねえ世界にはいろんな人間がいるからねその反応も千差万別だろうさ」
「それじゃあそろそろ本題に入るとしようか」