彼の紹介 予知の正体
「別に僕の説明なんていらないよ」
『そうはいかない、君は今だけとはいえ私のパートナーなのだから紹介はさせてもらうぞ。では改めて今日私のパートナーを務める彼は『生産者』雪白 透だ』
はあ、本当に紹介しないでほしかったんだけどな。あれほど断ったパーティに今更顔を出すのはかなり恥ずかしいから顔まで隠してここに来たっていうのに、アーベルはまず人の気持ちってやつを学ぶべきじゃあないかな。
しかし思ったより蓮たちは驚いていないな。ディアに至ってはやはりかみたいな顔でこっちを見ている。その隣には星がすごい楽しそうな顔をしてこっちを見ている。
彼女は僕と戦いたがっている数少ない(と思いたい)人間だ。いまみたいな戦いやすい場所に僕がいるのでテンションが上がっているのだろうか。
まあそんな先のことは見ないようにするとして、やはり偽物の予知は僕の思っていたものだったらしい。
予知には最低2種類の方法がある。直接未来を見る方法と今の状況から演算して未来に起こることを導き出す方法の2種類だ。そして彼のは後者だったらしい。
そして僕たちは彼が今の情報から未来を予知するというのなら彼の知らない、わからない技術を使い計算を外せばいい。
もし彼が予知の魔道具を完全に自分のものとしていたなら結果は違ったかも知れないが所詮もらったものを自慢したいだけの人間がそんな努力をしているはずもなく、それゆえにあっさりと無力化できたというわけだ。
『では私のパートナーの紹介も終わったところで戦いを続けることにしようか』
「それじゃあ僕はもう帰るね。今日の依頼料はきちんと口座に払ってね」
はあ、本当に今日は精神的に疲れてしまった。何か僕を癒してくれるものはどこかにないだろうか。
『ちょっと待てい!!なにを帰ろうとしているのだ。まだ戦いは終わっていないのだぞ!!』
「でもあとは君だけで終わらせることができるでしょ。だから僕はもう帰るよ」
『確かにそうだが………そうだ透よ、このままではこのパーティの主催者に申し訳ないと思わないか』
ん?なんで申し訳ないんだろうか?
『考えてもみろ、このパーティの参加者の中には『勤勉』が来ると聞いてきたものも何人かいるだろう。もちろんそうした参加者も最終的にはこのパーティを楽しむように考えられていただろうが、私たちが今そのパーティをぶち壊しているせいで予定通りとは言えないだろう』
「ふむ、それは確かにそうだね」
『ならば我らはせめてもの償いとしてここで見せるべきではないかな』
『「生産者」と「戦闘者」のコンビの有用性をな』