暴かれた『勤勉』
side 黒羽 蓮
「何者だ貴様?」
「初めましてアーノルド殿、私は今回ある噂を聞きこのパーティに潜り込ませていただきました」
いきなりあらわれたのは全身を白で包んだ人間だった。
「いったい何の噂が貴様は気になったのだ?」
「なにやらこのパーティに『勤勉』が来るというものです。いえ、それだけなら私が来ることはなかったでしょう。問題はそれが弟子を連れてくるというものです」
『勤勉』が弟子を連れてきて何か問題があるのだろうか?もしかして彼(素顔は一切見えないので声で判断した)は『勤勉』に弟子入りをしたい人でほかの弟子を認められないとかかな?
「おや、私が弟子を連れてきて何か問題があるのでしょうか?」
「おおありだっ!!『勤勉』を騙るだけならまだしも純粋そうな少女を騙すなど許されるはずもないだろうが!!」
偽物!?………ということはもしかしてあの白服は。
「私が偽物だなんてそんなウソをよく言えますね」
「貴様が本物であるというのなら『勤勉』の条件を言ってみるがいい」
「そんなのは『勤勉』であることに決まっているでしょう。そうしていればいつの日かいきなりなるものですよ」
「師匠?」
「どうしたのですか瞳?」
『勤勉』さん(仮)が条件を言ったら紫原さんの顔色が変わっていった。何か間違いがあったのだろうか?
「貴様は語るに落ちたのだよ。『七つの美徳』の一員になるにはその性質もそうだがまずは『七つの美徳』のダンジョンを攻略し魔道具を手に入れなければならないのだ」
「なっ!?」
『七つの美徳』専用のダンジョンなんてものがあるなんて初めて聞いた。そんなものがあるなら有名になっていてもおかしくはないと思うのだけど。
「わかったか少女よ、君は騙されていたのだ」
「………はい。あの、あなたはもしかして」
「私が何者かはたいした問題ではない。しかし君はよく知っていたなダンジョンのことを」
「えっと、私は昔読んだ本に『勤勉』のことが書かれていて、それで『勤勉』にあこがれていろんな情報を探し続けたんです」
そうだったのか、それにしても『勤勉』が書かれている本なんていったい何の本だろうか?
「そうか、君ならいつか私が無くなった後に『勤勉』になることができるかもしれないな。まあそれも私より長生きできたらという話だがな」
「本当ですかっ!!」
「すまないが話を止めさせてもらうぞ。結局のところそやつは偽物だということか?」
「違うっ!!私は本物だ!!あの方が私に力をくれたのだから!!」
あの方?いったい何者、というか何この威圧感!?今まで会っただれよりも強い!?
「そこまでだ偽物!!これ以上暴れるなら勇者として」
「君は関わらなくていい。これは私の問題だ。いくぞ偽物よ!!」
「さあ勤勉さをもって敵を制圧しよう!!」