パーティ会場にて(開幕)
side 黒羽 蓮
「我がここにいる皆を招待したディア・アーノルドだ。まずは参加してもらいありがとうと言っておこう。このパーティでは戦闘者と生産者の交流を目的としている。ここで気の合う人が見つかるように祈っている」
多くの人に見られながら、それに威圧もされているのに平然と挨拶を終えてしまった。
私が彼女のようにされたなら気絶するだろうと思うと力の差を感じずにはいられない。ギルドの人に訓練を頼むのもいいかもしれない。
私はあまりギルドに関わっていなかったしいい機会かもしれない。
そう思っていたから次の出来事に反応できなかった。いつもの私ならあいつがここまで近づくまでに気付けたはずなのに。
彼らはこの会場である魔法実験場の入り口から堂々と入ってきた。当然会場にいる人たちは彼らに目を向けるのだがそれらを気にすることなくディアちゃんの前まで近づいていった。
「貴様らは誰だ?招待客は全員来ているはずなのだが」
「初めましてアーノルドさま、私は『七つの美徳』が1つ『勤勉』を名乗らせてもらっているものです」
「ほう、それが本当なら貴様は招待状がなくても構わんな。しかし後ろの勇者たちは別だ。そやつらは実力が足りないと判断して呼ばなかったのになぜ連れてきた?」
「なんですって!?私たちのどこが」
「静かにしなさい赤井君、彼らは私の弟子と親しくしていましてね。弟子共々社会見学をさせたいのですよ」
えっ?仁の仲間にそんな人が………良く見れば知らない紫色の髪の女の子が一人増えているわね。おそらくあの子が『勤勉』の弟子ね。
「紹介しましょう、この子が弟子の紫原 瞳です」
「ど、どうも紫原 瞳です。以後お見知りおきを」
「ああ、『勤勉』の弟子だというのならぜひとも仲良くさせてもらいたい。こちらこそよろしくと言わせてもらおう」
それにしても仁に『七つの美徳』の知り合いとその弟子が仲間になるなんて、透君はこのことを知っているのだろうか。
これだけの戦力があるのなら透君を止めることができるかもしれない。そうなれば私も自分の接したいようにしていいよね?
「では皆の者!!これより本格的にパーティを始めることとする!!これからは相手の承諾があれば戦闘を行うことができるようになる。それを利用して互いに欲しい人間を探し求めよ!!」
「「「「えっ!?」」」」
何それ聞いていないわよ!?
「それではパーティの開幕だ!!」
「そして貴様の最後だ!!」