パーティ会場にて(挨拶)
side 黒羽 蓮
「すごい人数ね………」
「しかも強い奴らがかなり多いぜ………」
「それに雰囲気もあまりいいものではありませんね………」
「まあとりあえずこのパーティの主催者なディアちゃんに挨拶しに行きましょうかー」
それにしてもやっぱり透君がいないのは残念ね。私たちだけだと少し威圧されて、ちょっと帰りたくなってしまう。彼はこういう場ではどうでもいい話を振ったりして気にしないようにしてくれるのだけど私にはまだそういうことはできない。
その結果、あまり言葉を交わすこともなく静かにディアちゃんのところへ向かうのだが、彼女に近づくごとに私たちの移動速度が落ちていく。
なぜならディアちゃんのいるところにすごい威圧感を感じるからだ。
夏休みでかなり強くなったと思っていたけどうぬぼれていたというしかないわね。このパーティの中ではおそらく生産系の人たちを入れても私たちが一番弱いだろう。
ディアちゃんと知り合いじゃなかったら間違いなくよばれなかったわね。
「おお、蓮たちよく来てくれたな」
「今回は招待ありがとうございます」
「そんなかしこまる必要はないぞ。貴様らは我の友人として招待したのだしな」
「友人としてですか………」
「世の中で自分たちがどれくらい強いのか分かったであろう?」
どうやら私たちがこうなると分かって呼んだらしい。まあ確かにこのパーティに来なかったら多少は天狗になって油断していたかもしれない。
というかディアちゃんがここに呼んだということは、彼女から見て私たちはすでにそうなっていたのだろう。本当にすごいなと思ってしまう。
「ところでディアちゃんー、皆さん何やらピリピリしていますけど何かあったんですかー?」
「ああそれはだな」
「『七つの美徳』の1人『勤勉』が弟子と一緒にここに来るという噂があるのですよ」
「えっ?」
いきなり話に割り込んできたのは茜ちゃんのようなきれいな赤い髪の女性だった。
ディアちゃんの知り合いかな?
「いきなり失礼しました、私は星・アーノルドといいます。以後お見知りおきを」
「どうも黒羽 蓮です」
「紅 茜ですー」
「土屋 奈々です」
「風宮 瞬です」
「星、『学術究理団』の対応は終わったのか?」
「はい、少し手こずりましたが終わりました。とりあえずこのパーティが終わるまでは何もできないでしょう」
「そうか、では我はそろそろあいさつ回りをしに行くのでな。このパーティを楽しむがよい」
「そうね、そっちもいろいろがんばってね」
「こういうものは頑張るものではない、がまあ頑張ると言っておこうか」
そう言ってディアちゃんと星さんは移動してしまった。
しかしどうやってこのパーティを楽しもうかな?