いざ白王へ(赤をめぐる問題)
「「「「婚約者ぁ!?」」」」
「ええ、透君は私の婚約者ですよ」
「………たしかに僕は(今は)茜の婚約者(役)だよ」
間違ってはいないし嘘を言ってもいない、僕は昨日の夜に茜から連絡をもらっていたのだ。
その時の会話を思い出してみようか。
「もしもし雪白です」
「どうも夜遅くにすみませんー。紅ですよー」
「こんな時間にどうしたのさ?」
「明日のことなんですが、1日だけ私の婚約者になってくださいー」
「いいよ」
「じゃあそういうことでー。おやすみなさいー」
「おやすみー」
以上が昨日の通信で話したことだ。僕としては茜との試合の引け目があるのですぐに受けたのだ。
「………茜、何を言っているんだ。君は僕のものだろう」
「いえ、私のすべては透君のものですよ」
この会話を聞く限り彼の壁にするために僕を婚約者にしたのだろう。ならば僕もその役目に従って動くとしようか。
「茜、仕事は終えたんだから早く帰ろう。今日は僕の家で晩御飯を食べないかい?」
「そうですね、それじゃあ一緒に晩御飯を食べましょうか」
「君が茜の婚約者だと?君はいったい誰だい?」
………これで僕が一般人だと知ればまた騒ぎ始めるんだろうな。でもこの名前に誇りを持っている僕が別の名前を名乗るわけにもいかないよね。
「どうも初めまして雪白 透です」
「雪白 透?聞いたことのない」
「ええっ!?」
ん?僕の名前を聞いて驚くって誰か知り合いでもいたのかな?
「どうしたのですか京極様?」
「い、いえなんでもありませんわ」
声のしたほうに顔を向けるとそこには2人のイケメンと1人の美少女がそこにはいた。
「………え?あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!」
「透君、何がそんなに面白いの?」
な、何が面白いってあれを見れば誰でも笑うに決まっているじゃあないか。
「《風撃》」
「ははははははははははグエッ!!………痛いじゃないか、いきなり何するのさ春香」
「あらどうかしましたか?私はただ笑いすぎて窒息死しそうなあなたを助けただけですよ」
僕が笑ったのは彼女、京極 春香がまさにお嬢様!!という外見でそこにいたからだ。
僕の知っている彼女はかなり庶民的な人間なので思わず笑ってしまった。
そのしかえしがこの魔法なら仕方ない、甘んじて受けるとしようか。
「それじゃあ学園長先生、呪いは解除したので僕たちはこれで帰らせてもらいますね」
「そうですね、では」
「待ちたまえ!!茜君をかけて僕と決闘だ!!」