白の戦闘解説(白のやっちゃったこと?)
茜とアルファの戦いはどちらも決められない泥沼の戦いになっていた。
まず茜の魔法だが聖剣で強化されているとはいえアルファとの距離が十分にあればアルファの速さに追いつけず攻撃が当たらない。近づこうにもアルファの速さに追いつかないためにそれもできない。
アルファのほうは移動も攻撃も早いのだが茜と同じように遠距離からの攻撃は茜の炎に遮られ、アルファが接近すれば当たる可能性はあるが同じようにアルファが茜の炎に当たる可能性ができるためうかつには近づくことはできない。
僕から見た2人はそれぞれ力と速さの1点特化でそれゆえに膠着している。この戦いはどちらが先に集中力、体力をなくすかが問題となってくるのだが、少なくとも茜はもともと僕と戦うために1週間の間鍛えられていたのだ。それならば1日の間中戦えないなんてことはないだろうし、もしかしたら1週間以上の間戦い続けるようになっているかもしれない。
そしてアルファのほうだが………この戦いはアルファにとっては戦いではないのだ。なぜならアルファはそもそも魔道具を通して戦っているのであり、この戦いで負けようが壊されようが本人には何のダメージもないのだ。
つまりこれは戦いではないので横入りしても何の問題もないのだ。
「よし、自己弁護という名の言い訳はこれでいいだろう。後はどうやってあの魔道具を壊すかだけど何を使おうかな」
そういえば『白札』はまだあまり使っていなかったな。ここらで実験データを集めるのも悪くはないかな?
というわけで今回は奈々に協力を求めるとあっさりと許可が出たのでいま僕は茶色の属性色を扱えるようになっている。
そしてこれから行う攻撃は大地の《重力魔法》である。だいたいの人は何かに干渉できるほどの重力のイメージを持つことができないためにあまり使われることのない魔法だがきちんとしたイメージを持てば相手を圧倒できる魔法なのだ。
………そう、いま僕の目に映っているように1羽のカラスをミンチにすることなんて余裕なのだ。
この威力も使いにくくしている一因なのかもしれないな。と思っていると会場内がやけに静かになっていることに気が付いた。
まあさっきまでは茜の炎が結構大きな音を出していたから本来はこれくらい静かでいいのかもしれないけどなぜか気になる静かさだ。
………!?
これはまるで転校生が自己紹介するときに変なことを言ってクラスのみんなが引いたときに生まれる静かさに似ている!?