紅白対決 大勢で戦うひどい男?
なぜここに3年の先輩たちが来たのだろうか。いまは放課後の下校時間にかなり近い時間帯だそれなのに先輩たちは10人やそこらではなく100人ほどいるように思える。
これほどの人数が今の時間まで残っていたというのだろうか、もしかして茜が呼んだのかと思い見てみると首を横に振っている。つまり違うということなのだろうがそれなら疑問がより深くなった。
「これは少し困りましたね」
「確かにね、このままでいるのもなんだから直接聞いてみようか。………帝先輩こんなところにどうして集まったんですか?」
「君たちが戦うということを匿名で教えてくれた人がいてね、しかもその人は3年生全員に教えたようでね。こうしてここに集まったんだよ」
匿名で僕らの戦いを知らされた?そんなことができるのは『魔法について研究死体クラブ』のみんなと先生たちだ………まあ今考えなくてもいいだろう。
それにこれはチャンスかもしれない。前の模擬戦で審判をしたことに不満を持っている人は3年生の中にも何人かいるのだ。さらにほかの学年に至っては数人では済まないほどいる(僕のクラスの生徒を除く)ので、ここで僕の力を3年に見せつけることでうまくいけば不満が解消されるかもしれない。
「茜、これから僕は本気で行くよ。死にたくなかったら全力で戦うんだね」
「『黒札』が通用しないことはもうわかっているでしょう。それに《テリトリー》も通用しないこの状況で何ができるんですか?」
「それについては言葉じゃなくて行動で示すとしよう。魔道具召喚『黒龍』『白天馬』『紅鳳凰』!!」
僕の召喚によって呼び出された龍(真っ黒で大きな西洋龍)、天馬(白くて大きな羽の生えた馬)、鳳凰(赤くて大きい体が燃えている鳥)に似せて作られた魔道具。僕の作った『生体魔道具』の3体だ。
「そ、それは何ですか!?」
「僕の作った『生体魔道具』だよ」
「『生体魔道具』ですか?」
「茜はさあ、例えば僕の『黒札』が自動で敵を攻撃したらいいと思わない?」
「………それは確かに自分で操らなくていいならほかのことに意識をさけますし、ってまさか!?」
「多分考えていることが正解かな。僕は魔道具に活動できる体とある程度の知能、意識を与えたんだ。それが僕の『生体魔道具』ということさ」
「………そんなことができるなんてすごすぎですよ。先輩たちも驚いていますよ」
「それはよかった。まあ茜はそんなことを気にしている場合じゃあないよ、彼らは魔導の力に加えてその体を使った直接的な攻撃もできるんだからね」
「それはつまり………」
「1対4っていうわけさ!!」
そうして1人の男が女性に対して複数で襲いかかるというひどい戦いが始まった。