紅白対決 紅有利?
………今のはいったい?
《黒札・水龍》の水が一瞬で燃やされ大量の蒸気となって視界を遮っている。蒸気にやられないように『黒札』で周りを冷やすが茜が何をしたのかが分からない。
《テリトリー》が反応しなかったことからあの炎は魔法ではない。ということは魔道具だろうか?しかし『黒札』に対抗できるほどの魔道具なんて………いや、あった。
僕の考えが正しいなら彼女の持っている魔道具は………
「ガハッ!?」
蒸気に紛れての不意討ち!?あくまで戦闘方法は格闘戦か!?
「だったらこれだ!!《移せファントム》!!」
『転移の聖剣・ファントム』によって上空に転移した僕はそこから攻撃の準備を………
「やっぱりそうしますよね」
「あれ?もしかして読まれてた?」
「もちろんですよ。《紅蓮流星》!!」
「『黒札・土龍』!!」
『黒札』の土属性の壁を茜の拳が打ち砕き僕を地面にたたきつけた。その衝撃であたりの蒸気が軽く吹き飛んだがそんなことはどうでもいい。
問題なのは僕の対応がことごとく読まれ、そのすべてが無効化されていることだ。
読まれるまではいい、しかし無効化されているというのが問題だ。僕の『黒札』の5属性の技のうちすでに2つが破られた。おそらく《紅龍》も効かないだろうし実質『黒札』は使えないと考えていいだろう。
有効だと断言できるのは『破滅の聖剣』だがアレは威力が強すぎるからな。
「考える暇はあげませんよ《爆撃一矢》!!」
「何度も食らう気はないよ!!《収納しろキャビネット》!!」
茜の右手から飛んできた炎の矢を『収納の聖剣』で飲み込む。しかし所詮はその場しのぎにしかならない。
次々と放たれる炎は茜が使っている魔法ではなく聖剣のものだ。そのために《テリトリー》で妨害することができない。さすがに僕のイメージで聖剣に影響を与えることはできないのだ。
どうするか悩んでいるとなぜか茜が攻撃を中止し話しかけてきた。
「透君、本気を出さないのならもう降参してもらえませんか」
「………どうしてそんなに僕と本気で戦いたいんだい?」
「私はこの戦いに勝ったら透君に殺人を禁止させるつもりです。わたしは透君が蓮ちゃんを殺すのなんて見たくないんです」
なるほど、そういう理由だったのか。しかしそういうわけなら僕は負けるわけにはいかない。僕のために死んでいったみんなへの僕なりの弔いをしなければならないのだ。
「なら本気で行くからね」
「望むところです」
「「勝負!!」」
「お、やってるやってる」
「「へ?」」
そのとき競技場に3年の先輩たちが入ってきた。