現在の罪 水戸
side 黒羽 仁
どうして僕がこんな目に合わなければいけないのか。
僕がやったことの結果ではなく、父さんの罪のせいでこんなに苦しめられている。
そうだよ僕が悪いんじゃない。
僕が悪いんじゃないんだ。
「………ここは寝室か?」
寝室、寝るための部屋、休むための部屋。しかし僕は確信を持つことができなかった。
なぜならそこには色とりどりの数えきれないほどのベッドがあったからだ。
「とりあえず歩いてみるか。ここに萌か凛がいるはずだから早く探さないと」
およそ30分後、僕は5メートルくらいしか進めていなかった。なぜか目に入るベッド全てに引き寄せられ全く進むことができなかった。
1つのベッドから離れるのに10分、離れたときに目に入ったベッドに再び引き寄せられる。それを繰り返し、進むことができないのだ。
「く、早く見つけないといけないのに………はやく、グゥ」
『このまま一緒に寝ていようね』
『はい、仁君と一緒なら何でもいいです』
「これはどうなっているんだ?」
僕はベッドで寝てしまったはずなのにどうして僕の目の前には僕と臨がいるんだ?
『ほらもっと深く寝るんだ。二度と目が覚めないように』
『はい………仁君と一緒なら何でもいいです』
はっ!!疑問の思ている場合じゃない、早く助けないと!!
(凛!!目を覚ますんだ!!)
『さあ僕がいるからもっと深く心を閉ざすんだ』
『はい………仁君と………一緒なら………なんでも………いいです』
(凛!!くそっ声が出ない!!)
僕はまたどうすることもできないのか!?
「そりゃあそうだよ、もう終わったことなんだから」
「雪白君!!終わったというのはどういうことなんだ!!」
「そのままの意味だよ、水戸さんは君にずいぶんと魅了されていたからずいぶんと簡単に終わらせることができたよ。君の幻がそばにいて、それに命令させるだけでおとなしく従ってくれるのは楽でよかったよ」
「………僕のせいだっていうのか?」
「いや、そんなことはないよ。君は何も悪くない、しいて言うなら運が悪かっただけだろう」
「僕は悪くない?」
「そうだよ君は悪くない。ほら次で現在の罪はおしまいだ。早く行くといい」
「………そうだね行ってくるよ」
side 雪白 透
相変わらず脆いなあ。そういうところも父親と一緒なんて生まれ変わりだったりするんじゃないのかな?
まあ生まれ変わりだったらこんな遠回りなことをせずにすぐ終わらせるんだけどさ。
もう半分以上進んだだけあって浸食もなかなか進んでいる。このまま僕の思い通りに行くとうれしいなあ。