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答えと結衣と撫で回し

『僕、女の子のままでもいいんじゃないかって、そう思うんだ』


 この言葉を聞いた瞬間、俺はその言葉の意味を理解できなかった。いや、理解したくなかった。そしてそれを理解した途端、俺の身体に激しい拒否反応が起こった。


「バカ、かぁ……」


 優希にあんな事言われたのは初めてだ。あの優しい優希も、自分が悩んで悩み抜いた結果出した答えを、相談した相手に"そんなこと"なんて言われればそりゃあ怒るに決まってるよな。


「飛鳥君、少しお話があるので入りますね」


 部屋でため息をつく俺を姉さんが訪ねてきた。


「こほん。単刀直入に聞きます。優希君と何かありましたね?」


「……その、優希に酷い事言っちゃって」


「ふう。そんな事だろうと思ってましたよ」


「風呂に行った時、優希に相談されたんだ。僕は女の子のままの方が良いかも、って。そこでそんなのおかしいって言ったら……優希が怒って」


「それは……間違い無く飛鳥君が悪いですね」


 そんなことわかってる。今回は、全部俺の責任だ。


「今となっては反省してるよ。でも……怖いんだよ。俺の知っている優希が、12年一緒に過ごしてきた優希が消えてしまうみたいで」


「ふむ……飛鳥君、一つ質問があります。男の子の優希君と女の子の優希君、飛鳥君にとってどちらが一緒にいて過ごしやすいですか?」


 どっちが良いかなんて……そんな……


「そんなの……決められる訳無いだろ! 優希は、優希なんだし」


「そう、優希君は優希君なんですよ。そこが大事なんです。いくら優希君の性別が変わろうが、飛鳥君が一緒に過ごしてきた優希君は消えません。それに……飛鳥君も、優希君が散々悩んで出した答えがそれだったという事は理解しているでしょう?」


「理解はしているつもりだけど……」


「優希くんは飛鳥君を信頼してるからこそ、人に簡単に話せないことを相談してきたんです。なら、ちゃんと応援してあげなさい。優希君の第二の人生を」


 ニコリと笑った姉さんは大丈夫ですよ、と頭を撫でてきた。なんだか久々の感覚で……落ち着く。


「……うん。ちゃんと事実と向きあって応援してみるよ」


「さすがは飛鳥君。偉い偉い」


 姉さんはさっきよりも大きく俺の頭を撫で回した。


「なっ……やめろよ! も、もう高校生なんだからさ」


 あー……恥ずかしい。こんなとこ、麗華に見られるわけにはいかないな。


「あら、残念です」


 少し寂しそうな姉さんの顔を見ると、何故か罪悪感がこみ上げてくる。


「……ありがとう、姉さん。わざわざこんな事まで助けてくれて」


「いえいえ、可愛い弟の事ですから」


 受け入れるんだ、優希が選択した答えを。少しずつ慣れていくしか方法は無いけど、それでも良い。その為に、明日優希に謝ろう。許してもらえないかもしれないけど、モヤモヤしたままはごめんだ。

保存していた本文を消去してしまう痛恨のミスを犯してしまいました。やっぱり寝不足はダメですね。

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