73 真華の覚醒(めざめ)
※ 戦闘、グロ表現が苦手な皆様、大変お待たせいたしました。
今回はそういう表現は「一切」出てきませんので無問題。
個人的はアレでも結構「まだまだ未熟だな、俺」と反省の一歩を辿るべきものでございますが。あの話で影響が出ても困りますしね。
理論武装、大事。
「選べ」
それは、唐突だった。
これまで構築されていた存在の意識はここで一度バラバラに解体されて組み立てられた事を。
識った。
言われたのは一言で、上から押さえ着けるかの様な物言いだった。
男なのか、女なのか、それも判らなかった。
当然だ、だって。
自分自身は、たった今生まれたのだから。
「あの……貴方は、誰?」
返事は無かった。
目の前にあるのに、まるで目の前に居ないかのような。
存在しているのに、手を差し出せば突き抜けるかのような。
「えと、貴方が俺を助けて……くれたのか?」
「良い質問だ、答えよう。助けてはいない」
ナンですかそれは?
「自分自身で助けなければリサイクルされる、それが今の現状だ」
うわ、なんですか。その環境に優しそうな謳い文句……ええと、あれ?
今の現状……何の? と言うか、誰の?
て言うより、誰って何が?
「別に神だなんて名乗りはしない」
あ、ちょっと安心……出来るわけないから!
「ほら、さっさと選べ。ここで無限の時間を無駄に使い無意味な思考にはまるのは勝手だが、それに振り回される側の立場も考慮するべきだ」
て、言われてもなあ……知らない誰かの為に何かする義務はない気がする。
と言うより、今「無」って文字三つ出なかったかな?
「まあいい、どちらにせよ選び続けているのは変わらない。速攻で選ぶかじくじくとじりじりとじわじわと選ぶかの差でしかない」
いや、今度は「じ」ですか……三回繰り返すの好きなんですかね?
「別にそう言う訳ではないが、別にそうかも知れないと言う気はするが、結局の所からすれば別に関係ないと言うだけの話だろうな」
まあ、確かに無意識でこれだけ出来たらすごい……かなあ?
て言うか、さっき妙に気になる事を言ってた様な?
結局、俺は選んでるって事なのか?
「その通りだ。その為に、揺さぶりをかける為にここまで来たのだから、逆にそうで合ってもらわなくては、それを望む者達が哀れと言うものだろう?」
今度は「そ」って……この突っ込みも飽きてきたかな。
つまり、簡単に言えば「貴方」は誰かの依頼でここに居ると?
とか言う前に、ここは一体どこなわけ?
「どこでもあるが、どこでもないと言える」
何、その禅問答?
「ならば問おう、お前は『世界の中心』がどこだか答える事が出来るか?」
ええと……なんなんですかね、その愛を謡っちゃう様な。あれ、叫ぶだっけ?
見てないから知らないんだよなあ……どっかの砂漠みたいな岩場みたいな所だっけ?
「本当にそうなのか?」
さあ?
そんなのは知らん。
「ふむ……では、何故知らない?」
って言われてもな……なんでそんな事を言われないといけないわけ?
「言っただろう、お前は選択をするのだ」
洗濯だったら楽だったのかな……学校の授業以外ではした事ないけど。
洗濯機でおまかせだし……そう言えば、あの世界での洗濯ってどうやってたんだろう?
「ほう、『あの世界』とはなんだ?」
え? ええと……あの世界って言えば……。
ところで、今の口に出して言ってたっけ?
「お前、口があると思ってるのか?」
なんで面白がられてるのか判らないけど……って、口ないのっ?
てか、考えたら手とか足とか動かしてる覚えないし何か見えてるわけじゃないっ?
「こらこら、そんなに焦るな……いや、焦って良いのか?」
どっちだよ!
「そこで逆切れを起こすのもどうかと思う……いや、起こすか。普通?」
なんで、そこで「あいつらが普通じゃないんだよな、これが普通って奴だよな? 普通の感覚なんだよな? 普通万歳、普通ブラボー、普通バッチこい」とか呟いてるわけ……?
もしかして、お前って不憫な奴?
「え、判るっ?」
え、そこで食いついてくるっ?
なんでいきなり、そこで語りモードに入るわけ? いや、そんなの興味ないし。あんたの友達がどんだけ素晴らしいけど鬱陶しいかなんて関係ないし!
「あ、そうだよね。ごめんごめん」
ストレス……たまってるんだ……な?
「……うん、まあ」
そ、そんなに落ち込まなくても良いんじゃないかな? ほら、生きてるだけで丸儲けってどっかの芸人が言ってた気がするし!
「でも、生きる事って大変だよ? 割とでもなんでもなく」
いやまあ、そうだけどさ……。
て、あれ? そう言う話だっけ?
「さてね?」
いや、さてねって……そっちが振って来たんじゃないか。
「そうは言うけど、君がさっきから人の話を無視してるんじゃないかな?」
人の話? なんだっけ?
って……睨むなよ、なんだか怖ぇよ……あれ、目あったっけ?
「細かい事は気にしなぁぁぁぁぁい!」
細かくないから、十分大雑把だから!
「大雑把なら気にする事もっとなぁぁぁぁぁあい!」
駄目だろう、それ!
「細かいな、じゃあどうしろと!」
判んねえよ!
「逆切れかよ!」
お前がな!
「まあ良い。『ここでの時間』は売っても余る程度には幾らでもある」
……何、その「妙に含むところもツッコミどころも満載でてぐすね引いてお待ちしております」的な言い回し?
「ん、文字通り『ここ以外での時間』は普通に流れてる通常運行って所かな?」
かな? じゃねえだろうが……。
「だって今の君にも僕にも関係ないし?」
関係ないって……
「さあ、選ぶ時間だけはたっぷりある。選べば良い」
何なんだ一体……選ぶたって、何をどう選べと?
選ぶってのは、比較対象があって初めて選択肢と言うか認識とか言うものがあってだなあ……!
ちくしょう、なんだか判らないけどどんどん腹が立ってきたっ!
「なんで怒る必要があるのさ?」
そりゃそうだろう、何も説明もなしにいきなりそんな事を言われて何をどうしろと!
あげく、きっと何を選んだとしても「それは貴方が選択したことです」とか言って責任を人に押し付けるんだろう! 詐欺の手口だ!
「後から来るタイプだったんだね……否定はしないが、肯定もしないな」
意味不明だ!
「お前はただ選べば良いだけの話。単なるそれだけの事なのだよ……と言うより、お前につき合わされているこちらの身にもなってくれ。無駄な時間が流れて行ってしまうじゃないか」
何なんだよ、それ……そう言うお前は何なんだ?
「君は『何なんだ』しか言えないのかね……もう少し個性と言うものがあっても罰は当たらないんじゃないかい?」
……ここは「確かに」と言うべきか「やかましい」と言うべきか悩むな。
悩むけど、何も判らない事に決める事なんて出来るわけないじゃないか。
「え? 何? じゃあ君は、何もかもわかった上でないと何一つ選択すら出来ないと? そう行っちゃう?」
普通はそうだろうがよ!
「普通って何?」
……え?
「君の言う『普通』って何?」
んな「さあ、答えたまえ!」と言いたそうな感じで言われてもなあ……。
「外れ、模範解答は『さあ、答えるが良い』だったりする」
そんな事を言われても困るんですけど!
「困れば良いよ、僕は困らない」
うわ、超他人事っ?
「そりゃあ……ねえ? それとも、他人では嫌なのかい?」
んな事あるかい!
「良し、これで『君と僕の関係』は『他人』となった」
……どう言う意味?
これで? 良しって何?
「……少しは『思考』すると言う事に慣れてきたかい? ちなみに「しこう」と言う言葉には他に『嗜好』もあれば『試行』や『至高』などもある。他にもある」
……しこう?
しこう、考える。思考?
……もしかして『考えさせる』為に『現れた』とか言う?
「もしかしなくてもね、致し方が無い。これもやるべき果たすべき事だからね……超面倒なんですけど」
ええと……すみません?
「なんで疑問系っ? いや判るけど、理解しちゃうけど!」
まあ、そうですよね。判りますよねえ……。
よく判らないけど、こちらが至らぬ為にご迷惑をおかけしたような気はするけど誰の責任? 誰得? とか思ってるの判りますよねえ……。
「そりゃ判るさ、今の君が君以外の存在に何かを隠したり示したり出来るとでも本気で思ってたりする?」
……ええと、思考。思考して、考えて。
つまり……何なんだっ!
「どしてそこへ戻る……!」
いきなり「思考しろ」とか言われてもなあ……遠い目の一つや二つしたくなるからだろうが!
「ほっほう……」
なんで目を細めてこっち見るっ!
なんだか妙に寒いんだけど!
「よく『目を細めた』なんて判ったね?」
……そう言えば?
見えてる? て言うか。見た? あれ、何時?
何時ってなんだ?
「落ち着けボケ」
ボケ言うなアホ!
「なんでボケツッコミ……誘い受けですかあ?」
生々しいなっ!
「何が生々しいんだか……呆れる。
そして、まあいいや」
ん? 何が「まあいいや」なんだよ?
何か納得出来る事でもあったわけ?
「あったと言うか、あると言うか、て言うか……これから起きると言うか?」
そのあやふやな点が気になるんですけど!
「ならば、気にすれば良い」
あれ、いきなり雰囲気変わりました?
「案ずる事はない、すでに目的は果たした。
お前は、もう「選択」を行ったのだから用事はない」
え……別に何も選択なんてしてないんですけど!
もしかして、アレ? さっきの貴方と関係ないって話とか?
いやいやいや、別に間違いじゃないけど正しくもないけど!
「それは取っ掛かりでしかない、お前は別に悪いわけではない。間違っているわけでもない。
だが、正しいとは誰も言わない。思わない。
けれど、それは別に誰かのせいではない。お前のせいではない。
お前は何も知らず放り出された、だから選択した。それを選択したと言う自覚があるかどうかは別だけれど」
判らないよ……。
「お前は、お前として作られたわけではなかった。
だからお前自身の咎も罪も存在しなかった。
『生きる』と言う、ただ世界の成り立ちに考えれば哀れと言っても良いだろう。そして、今」
本当は、知ってる。
識っている。
理解したから。
「そう、お前は理解した。
ねじ込まれた「知識」から沢山のものを吸収し、いまやお前という存在はすでに元のお前とはかけ離れた存在となってしまった。
だから、今のお前を最初のお前と認定する事は出来ない。
判っているな」
疑問系ですらないのかあ……きついね。
「きついだろうね、だが求めた答えは目の前にある。ずっと目の前にあった。
ただ、それに気が付くか否かと言う問題にすぎない」
判った気がする。いや、ずっと見ていたし聞いていたし、知ってた。
でも、どうしたら良かったんだろう? これって罪?
「そんな物は知らん」
ひどいな。
「当然だろう、それはお前が考えて行動するべきことであって、他の誰かに押し付けるべきものではない。
お前はお前である事を選び望み、行動し続けると言うのであれば、それはお前自身が求め、探し、行動しなければならない。他の誰かに押し付けた所で、それがお前の望みだと言うわけではない」
真面目にきついな! 言い訳も出来ないくらい事実を視線そむける事も出来ない程度の強力な力で釘付けですかっ!
「ああ、それが役目だからね」
前回の時点、そしてこれからの展開を考えたら、今回の話を入れることが良かったのか悪かったのか、正直な所は迷っています。
この件についての終わりは決めています。だから、ある意味においては必要な事なのです。でもある意味については不必要な事です。でも、きっとめんどうだから削除はしません。
では次回予告。
「眠いから書くのがうつらうつらでしょうがないよ、秋水ってば別の意味で羨ましいけど人としての尊厳と貴方ならどっちを取りますかっ!?」
と言う感じです。




