25 例え火の中水の中…行き過ぎ
世間様的の暦で三連休、皆様はいかがおすごしでしょうか?
僕は妙に忙しく過ごしてます。
あんまり忙しくて顔が痒くて痛い(己の汗で肌荒れが!)
ご同類の皆様、お互いほどほどに生きていきましょうね。
たとえ、この三連休が猛暑日になると気象庁が言っていても。
例え、僕が今日は医者二種類行って、明日は工事の人が来る事になってる中で「ニンジンがー!」と喚いていても。
25 例え火の中水の中…行き過ぎ
その話を整理すると、つまりはこうなる。
1つ。以前から学園都市の境界線ぎりぎり(ちなみに学園都市は城砦の様に石垣で囲まれた役所や寮や定められた建築物などで整備された内側の都市と、元来この地域に住んでいたり学園都市に許可を取って移住してきた人達の住む外側の町とで二分されている。だが、城壁の外側は天然の地形を利用した結界が張ってある為に内側と外側を分ける様な具体的な建物がないので、監視の目が緩いのを良い事にある程度は金と権力を持っている者が割りと好き放題していると言うのが現状)の地域、世間の目が厳しくなっていた金と権力を持っている者達が行っている宴会……要するに、接待であり展示会であり一種のショーをおこなっていた。金品や珍品、名品と言ったものが絡むとたいていの人はころっと替わるから恐ろしいものだ、中には口にする事も憚られる様なやりとりが普通に行われていたと言う。人の心は移ろいやすく、一度「そうだ」と思い込んでしまうと当然の事となる。
2つ。様々な要因が絡んだとしか言い様がない、とてつもない偶然の産物と言えた。
先にも述べたように、各種の「珍品」が集まる瞬間と言うものは存在する。しかし、時として「神の采配」とも「悪魔の悪戯」とも言える様な偶然的環境が整う事も人生には往々にしてあるだろう。
今回、最悪だったのが各種の魔術的な品々があった事と北邦領ではさほど珍しくはないが一品として名高い「薬」があった事が自体を引き起こしたと言える。が、これだけならばまだマシと言うもので「客」の中にとんでもない存在とも言うべきキーマンがいたのがトドメを指した。
3つ。2で述べたように、その日はたまたま魔術的な道具が集まっていた……一つ一つだけならば学園都市のみならず一部地方でも目にする事が全くないとは言えないくらいの些細なもので、けれどそれら些細なものがなければ、どれか一つでも欠けていたら決してその現象は起きなかったと言えた。
たまたま偶然集まった魔術的要素を含んだ品々と、たまたま偶然にその場に居た魔術を使う存在と、たまたま魔術を使う存在が偶然が重なって薬によって人格崩壊の境界線を漂っていた時に起きた現象。
これを、後の世は「災厄の虹花」と呼んだ。
一応、これには事情がある……当時の事件現場となった空間はどれだけの間だったのか、それとも一瞬の出来事だったのか。まるで虹色の花が開くかのような現象が起きたのはとても幻想的な風景だったと「遠方から見る事が出来た」僅かな目撃者は口をそろえていたと言う。もっとも、近くで見る事がなかった彼らは幸運だったと言うべきだろう、間近で見たものは誰もおらず、屋敷は中の調度品も含め「全て」が粉砕されていたのだから。
そう、そこに命ある存在はなかったのだ。
たった一人を除いて。
4つ。一人の人物が居た。唯一の生き残りと言うべきだろう、けれど倒れていた人物は虹色の光に包まれており状況を判断出来ない者達は事情がわからない為に手が出せないと言う状況だ。
倒れているのだから、死体と言う可能性もある。一定の距離以上までは近づく事が出来るが、流石に光が止まらずにきらっきらしている状況に手をぽんっと出して無事に済むのかと問われると誰も答えを出す事が出来ない。
とりあえず、この件に関しては専門家の手を借りる事が決まった。
他に何かをどうする事が出来ると言うわけでもない、この問題はひとまず放置される事となった。
5つ。まだあるのかと言いたくなるが、あるものはあるのだからどうしようもなく……この件に関しては専門家と言える様な存在もなければ分野もなかったのだ。何しろ、「虹色の輝く花」など誰も見た事も聞いた事もない。神話関係の文献で症例とも言うべき事がないわけでもないが、何しろ神話はあくまでも神話であって現実に即しているとは言いがたい。その上、どう見積もってもあまり時間をかけている余裕がない。
何しろ、人は飲まず食わずで生きられるのは7日も満たない。幾ら相手が生きているのかどうか判らない状態、仮死状態になっていると仮定して可能限り生命維持が低下しているとは言っても放っておいて良いかと問われれば医療関係者はこぞって「普通は死ぬから、それ」と太鼓判を押してくれるだろう。嫌な太鼓判だが。
魔術系ギルドの関係者、学園都市理事会でも話題をおおっぴらに出来ない事情があるだけに動ける範囲は妙にこっそりなものだから、余計に足並みが揃わずに鈍っていると言うのもある。
とりあえず、大きく分類訳ができる問題は主にその5つと言えた。
マリア・ビルカがドーンやレンにもたらした情報は「境界線ぎりぎりの一部の屋敷でおおっぴらに宴会が開かれている」と言うことではあったのだが……最近、そのあたりからと思われる「薬」が広がっていると言うのもあった。ドーン達が興味を示すようなものではないが、マリアにしてみても弟が関わる可能性があった事も口にした理由の一つだろう、思い切り八つ当たりも含めていたのは否定しないだろうが。
「だからって、なんだってドーンにその話が来るの!」
全ての上位ギルドランク者に召集令状が密かに発布されたのは、カーラを引き込んでから数日。
その間、何やら様々な事がうやむやになった感があるカーラはラーカイルと今後の事を話合った事でアンレーズと話をする機会が増えたがリリアントには嫌われたようだった。
「落ち着いてください、レン・ブランドン君」
全てのギルドの中でも上位ランキング保持者となると数は限定される、学園都市側は未だ一般市民に事の次第を告げては居ない。まだ報告できるだけの情報がないからだと言ってしまえばそれまでだが、無用な二次災害を起こす可能性が多分に含まれているからだ。かと言って、そのまま放置して置いて良い事は何一つないので静観するわけにもいかない。
実際、関係各所は訳も判らずに上から下から大騒ぎになっているくらいだ。
「ラーカイル先生はもっと慌てふためいてのた打ち回ってください!」
レンは、ギルドには所属していない。
あくまでも一般的には某国の次期公爵子息と言う身分でしかない今回のレンは部外者でしかなく、要するに一人でドーンを何かに巻き込まれさせようとする上層部に噛み付いているだけに過ぎない。
「いや、断るけど。
これはギルドからの正式な要請だ。レン・ブランドン君に何をどうこう言う権利はない……それに、全ての上位ギルドランク者が召集されてるんだから仕方ないんだよ」
学園都市理事会は事態を重く見て、かと言って状況が一歩も動いている兆しが見えない為に関係各所に通常運行を指示しただけにとどまる。ここで下手に人員を増やした所で下手な情報で現場が混乱する事を防ぐと言う意味もあるが、どちらかと言えば現場が動くほどの情報もないのを隠したいと言うのもあったようだ。
「大体、キャスレーヌ女教師が参加するなんて危険以外の何があるって言うんですか! もっと真面目に止めてくださいよ、何の為に教師やってるんですか!」
噛み付くレンの気持ちもわからなくはないが、これもまた仕方がない。
「少なくともレン・ブランドン君の為じゃないのは確かです」
「きっぱり言うなよ」
「キャスレーヌ女教師もそろそろ生活がきついみたいなんですよね……あれでも「解析」のプロフェッショナルですから召集されるのも正当な理由があるってわけですよ」
「しかも流すのか。それで、ドーンの事がバレたらどうするんだよ」
「……まあ、今回の標的はドーン様ではありませんし」
意外と言えば意外ではあるが、キャスレーヌ女教師は教師である。
基本、様々な分野のプロである教師の中にはギルドの上位者である者も少なくはない。キャスレーヌも魔術系ギルドの研究室で解析の世界では多少とは言え名が通っていないこともなく……現在はもっとも問題視されてるレン・ブランドンの教師ストーカーとして名を馳せていたりするところが居た堪れないのだが。
「状況、判っていってます?
彼女が万が一気が付いたら、どうなると思ってるんですか」
「言っておきますけど、キャスレーヌ女教師はレン・ブランドン君が絡まなければ然程は。逆に、それなりに優秀ですよ? ただ、レン・ブランドン君が絡んだ時だけ暴走して周囲に与える被害は甚大、何ら関係のない生徒や教職員を巻き込んで上から下から大騒ぎ。おかげで、理事会から色々な意味でもう大変って感じで」
実際、ラーカイルも権限施行でキャスレーヌの評判を調べてみたところ頭を抱えて悩みたくなる衝動に駆られたが、同時に「それもあるかも知れませんねえ」と納得してしまった。
何しろ、今回が初めてと言うわけではないのだ。たまに男性にもあるが、主に女性がころりと性格やら言動やらが変わってしまう事が何度もあったし何人も居た。ラーカイルも実際に見たことあるし、話に聞くだけでも結構あるものだから普通ならば「羨ましい」と思うだろう事も数が多すぎて「いっそ殺して差し上げたほうが親切なのでは?」と言いたくなったくらいだ。実際、そういう感想を持っている人も居た。誰とは言わないが。
ちなみに、もしかして何か呪われているんじゃないだろうかと周囲では真剣に考える人も今までいたとかいないとか……確かに顔は子供だけど将来が楽しみな美麗ではあるし、東宝の公爵家の次男とは言え次期後継者だから将来性もばっちりすぎて夢の一つも見たくなると言うもの。性格はさて置いて、育ちのよさは折り紙つきだ。
かと言って、場合によっては誘拐されたり誘われたり声をかけられたりする率が高すぎて涙を誘う。主な理由としては巻き込まれるドーンに対してだが。
「今でも、レン・ブランドン君の出ていない授業に関しては、これまで通りの優秀な教師としての立場を保っているんですよ……一応」
一応と付け加えたのは、教師や生徒の判断とか評判と言うものが必ずしも正確かといわれるとそうでもない所にある。人の意見はその瞬間の様々な要因によって左右されるし、支給品に魔法が掛かっているとは言ってもプライベートな問題もあるし全ての言語を録音しておくのも面倒……容量の問題もあるので、基本的には対象者の行動範囲を測定する程度しかしていない……筈だ。
実際の所は不明、と言う事にしておく。
「そこまで警戒しなくても良いのでは? 私は、直接キャスレーヌ先生の授業を受けることはないので判りませんが、確かに昨年までの評判を考えるとそこまで酷いものになるとは思えません」
すっかり忘れられていたのだが、ここはラーカイルの医療室だ。
ついでに言えば、ここにはラーカイルとレン、そしてカーラが居る。
ちなみに、ドーンはいない。これから来る予定だ。
「ふむ……リッツ商会としてのキャスレーヌ女教師の判断は?」
「昨年まででしたら、良くも悪くも普通の範疇を超えません。調べてみないと判りませんが、これと言って問題があるとは見受けられませんでした。ですから、今改めて考えると幾らなんでもおかしいなって気はしないでもないんです」
戸惑いを表情に載せているのは、何やら納得出来ないものを感じているからなのだろう。
ここ暫くの自分自身の反応を見て、何がどう変わったのかは判らないが何かが思い切り変わった自分自身をカーラは感じていた。
なんだか、普通に生活して昨日帰って今日来たら、いきなり何年も休んでいたかの様な違和感。
何時からかは、正直判らない。でも覚えるのは戸惑いだけで不快ではないのも不思議だ。
「絶対に何とかしてやる……」
「困ったものですねえ……」
「ええと……」
ところで、書いている本人に一つ疑問があるのですが。
この学園都市、いったい季節はいつなんでしょう?
特に服装についての記述は「制服がある」とか「長衣を着ている」とか「制服を改造している」とかしかないのでアレなんですが。ねえ?
と言うわけで、今回は密かに二度出演していた上にまた出るかも知れないドーンの研究室でお茶を振られたかも知れないアインス・ツヴァイン君どうぞ。
「外ではガン無視外ではガン無視外ではガン無視……(以下エンドレス)
ああ……どうやら、あの後何かがあったみたいですねえ。
ご愁傷様です(南無)←まだ死んでません<過去分参照




