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前略、目が覚めたら、なぜかRPG世界にいたんだが……。  作者: 書仙凡人
第一章 前略、RPG世界より

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Lv.22 見知らぬ部屋

   [Ⅰ]



 青い煙の渦によって俺とアーシャさんは、石版のあった大広間ではなく、全然知らない違う場所へと運ばれてしまった。

 渦はもう消えてしまったが、今の現状を考えると、どうやらアレは巡礼の門だったのかもしれない。

 理解できない現象ではあるが、俺はとりあえず、そういう風に解釈する事にした。

 ここが龍の神の幻想譚の世界ならば、それが一番しっくりくる考え方だからだ。

 だがとはいうものの、俺の記憶が確かならば、巡礼の門は基本的に、据え付け型の転移装置だった気がする。

 いや、場合によっては消えたりする事もあったが、ともかく、その辺の事が俺も曖昧なので、はっきりと断言はできないのだ。

 しかし、アレが巡礼の門だとすると、ジタバタしたところで仕方ない。

 なぜなら、出入り口となる渦が消えてしまった以上、もう俺達にはどうする事も出来ないからである。


(まさかここで転移とはね。つくづく、わけがわからないファンタジーな体験だよ)


 俺は気持ちを切り替えて、これからの事を考えることにした。

 だがその時、俺は今の自分に対して、少し不思議に思ったのである。

 なぜならば、こんな事態になったというのに、俺は妙に落ち着いているからだ。

 この世界に来た頃の俺ならば、今の状況だと、確実に慌てふためいていた事だろう。

 だが、なぜかわからないが、この異常事態に対して、驚くほど冷静に物事を見ている自分がいるのであった。

 やはり、この世界に来てから、1か月ほど経過してるのが大きいのかもしれない。

 魔物や魔法といった非現実的なモノにも直に触れてきたので、こういった超常現象に対しての免疫がついてきてるのだろう。

 またその他にも、ここがゲームの世界だと俺自身が認識している事も、大いに関係しているように思う。

 なぜなら、ゲームの知識や常識ならば、もう既に、俺はそれなりのものを持っているからだ。

 そういった安心感もあるので、こんなにも落ち着いてられるんだろう。

 まぁそれはさておき、今は現状を把握する事の方が先決だ。

 というわけで、俺はまず、部屋の様子を確認する事にした。


(さて……まずはこの部屋を冷静に見よう。何かあるかもしれない)


 室内を見回すと、四方を囲う白い石壁と、そこに1つだけ設けられた銀色の扉が視界に入ってくる。

 金属製と思われる銀色の扉は、ゲームでよく見かけるアーチ状のモノであった。

 それと、部屋の形状は正方形で、壁はレンガのような白い石を幾重にも積み上げて造られていた。

 中世ヨーロッパ的な雰囲気が良く出ている壁面であった。

 今見た感じだと、この部屋の壁には、銀色の扉が1枚ある以外、他には何もないようだ。

 窓や通気口といった類の物も、勿論、無い。

 よって、かなり殺風景な感じの部屋であった。

 下へ目を向けると、20畳程度の広さをもつ石畳の床が視界に入ってくる。

 これも、特筆すべき点など何もない、ごく普通の石畳の床であった。

 こんな床を見ていても仕方がないので、俺は頭上へと視線を向ける。

 すると、10mくらい上に天井があり、そこには先程の大広間と同様、白く光る丸い石が埋め込まれていた。

 それらが程よい明るさで室内を照らしているので、視界は良好である。

 もしかすると、あの光る石は、古代の魔法技術によって作られた照明なのかもしれない。

 まぁそれはさておき、この部屋の様相は、大体こんな感じであった。


(……とりあえず、今見た感じだと、あの扉以外何もなさそうだ。現状は、扉を開いて先を進むしかないのかもな。ま、アーシャさんがそうさせてくれるかどうかわからないが……。でも、ここはいったいどこなんだろう? もしかして、とんでもなく遠い場所じゃないだろうな……それは勘弁してくれよ、ほんとに……)


 アレが巡礼の門ならば、今まで俺達がいた建造物の中ではなく、遠く離れた地という可能性も十分にあるからだ。

 だが、とはいうものの、今そんな事を考えても、結論が出ないのは明白であった。

 なぜなら、それらを判断する為の材料が何もないからである。

 室内を確認した俺は、アーシャさんに視線を向ける。

 するとアーシャさんも俺と同じく、周囲を念入りに見回しているところであった。

 見知らぬ場所に放り出されたような感じだから、こうなるのは当然だろう。

 それはさておき、今はそんな事よりも、これからどうするかである。

 俺達の選択肢は、銀の扉を潜って先に進むか、救出部隊が来るまで暫しここに留まるか……その2択だ。


(さて……どうするといいんだろうな。でも、あまり勝手な行動すると、この子の事だから、突っかかってくるのは目に見えているんだよな。はぁ……よりによって、なんでこの子と2人っきりになったんだろう。やたらと俺を敵視するから、この子、苦手なんだよな……。でも、後でややこしい事になると面倒だし、一応、訊いてはおくか)


 つーわけで、とりあえず、アーシャさんに確認してみた。


「あのぉ……アーシャ様、これからどうしますか? 目の前には銀色の扉がありますけど」


 アーシャさんは俺に振り向く。


「どうって……決まってますよ。オルドラン様とお兄様がこちらに来るまで、ここで待機です。ですからコタローさんは、私の許可なしに、勝手な事はしないでくださいね」


 思った通りの答えが返ってきた。


(まぁいいや……俺も疲れたから、少し休むとしよう)


 俺はその旨を伝えておいた。


「はい、わかりました。じゃあ、私は暫く休憩しますので、よろしくお願い致します」


 そして、俺は床に腰を下ろし、一息入れたのである。

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