伊達と富澤の数学教室コント 第4弾 ~虚数単位I(アイ)って何だ!?~
(舞台には黒板。伊達はなぜか虫眼鏡を持ち、富澤は腕組みをしている。)
伊澤: どうもー!サンドウィッチマンでーす!今日も数学の授業、張り切ってまいりましょう!
富澤: (虫眼鏡を覗き込みながら)どうもー。今回は何を見つけるんですか?
伊澤: お前、虫眼鏡で何を見ようとしてんだ!今日はな、数の世界をさらに広げる、とっておきの話を教えてやるぞ!もしかしたら、見たことない数が好きだってやつもいるかもしれねぇからな!
富澤: そんなやついますかね?
伊澤: いるんだよ!まずな、復習だ!富澤さん、ここに「Xの2乗=3」っていう方程式があるだろ?これ、Xの値は何だ?
富澤: えーと…ルート3、っすか?
伊澤: そう!そう思うだろ!でもな、実はこれ、「有理数の範囲」だと解がないんだ!
富澤: え!?ルート3って、分数で表せない数、ですよね?
伊澤: そう!有理数ってのは、分数で表せる数のことだからな!ルート3は分数じゃ表せない、永遠に続く循環しない小数だ!だから、有理数の中には「ルート3」はいないんだよ!
富澤: あー、なるほど。じゃあ、なんで俺、ルート3って答えたんだろう?
伊澤: それはな、お前がいつの間にか、数の範囲を「実数」まで広げてたからなんだ!無理数もOKにした途端、ルート3っていう仲間が増えたんだよ!
富澤: へぇー、知らねぇうちに世界が広がってたんすね。なんか、最初にマイナスの数を考えた時みたいな衝撃だ!
伊澤: その通り!昔はプラスの数しか扱えなかったけど、マイナスを許した途端、数の世界が倍以上に広がっただろ?それと同じことを、今からまたやるんだ!
実数の限界と虚数単位の導入
伊澤: さあ、富澤!もしXが実数だっていう条件の下だったら、「Xの2乗」って、必ずどうなると思う?
富澤: Xを2回かけるんですよね…えーと、プラスか、0になりますね!マイナスになることは絶対ない!
伊澤: そう!よく分かってるな!Xの2乗は、どんな実数でも、必ず0以上になるんだ!
富澤: はい!
伊澤: じゃあな、富澤。もし俺が「2乗したらマイナス3になる数を見つけてください!」って言ったら、お前どうする?
富澤: えー…無理っす!そんなのないっすよ!だって、2乗したら絶対プラスか0になるんでしょ?
伊澤: その通り!「実数の範囲」では、そんな数は存在しないんだ!でもな、ここで立ち止まってちゃ、科学は進歩しないんだよ!
富澤: (ゴクリと唾を飲む)
伊澤: だからな、ここでさらに数の範囲を広げようじゃないか!どんな2次方程式でも、常に解を持つようにしたいんだ!
富澤: でも、2乗してマイナスになる数なんて…
伊澤: そこでだ!無理を承知で、こう考えたんだ!「2乗するとマイナス1になる新しい数」を考え出そうと!
富澤: (驚いて)えぇーっ!?そんな都合のいい数、あるんすか!?
伊澤: あるんだよ!そして、その数をこんな記号で表すんだ!
(黒板に「i」と書く)
富澤: 「i」!?アルファベットの「アイ」っすか?
伊澤: そう!この「i」はな、「2乗するとマイナス1になる」って定義するんだ!今までの常識とは全然違うだろ?
富澤: 確かに!常識がボヨヨ~ンってなりましたね!
伊澤: この「i」のことを「虚数単位」って言うんだ!「虚」っていうのは、「実」に対して使われる言葉だ。「実像と虚像」って言うだろ?実数に対して、新しい「虚数」の世界が始まるんだ!
富澤: なんだかロマンがありますね!
伊澤: そう!この虚数単位「i」を定義することで、「2乗すると負の数になる数」っていう、さっきまで「無理だ!」って言ってた数も扱えるようになるんだぞ!
富澤: じゃあ、さっきの「Xの2乗=マイナス3」も、この「i」を使えば解けるようになるってことですか!?
伊澤: そうだ!それはまた今度教えてやるが、まずは「iの2乗=マイナス1」!この意味で「i」が「虚数単位」として定義されたんだ!ってことを頭に入れておけよ!
富澤: 2乗するとマイナスになる世界か…なんか、ワクワクしてきました!
伊澤: だろ!これで、お前もまた一つ、新しい数の扉を開いたんだ!今日の授業はここまで!
富澤: ありがとうございましたー!
伊澤: どうもー!
(二礼三拍手)
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