表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王を討伐したので年上メイドと辺境でスローライフします!  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/30

指輪

「何? 寝不足? あんたたち夜中まで何やってたのよ」

 ルシアが不機嫌そうに言った。


 ルシアがいなければ、僕はまた昼近くまで寝込んでいただろうが、大事な客人であるルシアに合わせる必要がありと、アイリさんに起こされた。アイリさん自身は全然平気な顔をしていた。結構、体力も凄いのか。

 僕はあくびを噛み殺して悪態をつくルシアのご機嫌をうかがった。


 ダイニングにはすでに朝食が並んでいた。ふかふかの食パンがスライスされて、生ハムとレタスが挟み込まれている。パンをめくるとどうやらマスタードとマヨネーズが塗ってあるようだ。他には僕たちで作った生トマトとルッコラのサラダ。香りからおそらくチキンブイヨンベースのトウモロコシのポタージュスープ。最後に甘いもので、昨日のラーメンの時に合わせて買った月餅という東方風のお菓子だ。


「う~ん、このサンドイッチ最高!」

 普段は宮廷料理にさえ文句をつけるルシアが、大げさに喜んでいる。

 僕はすでにこのパンと生ハムの美味しさを知っているので驚かな……。

「う、うんまぁ、なんだコレッ! マヨネーズか? マヨネーズが違うのか?」

 そのサンドイッチの美味さは僕の予想のはるか上をいっていた。


「フロア村産の新鮮な卵と、最高級のワインビネガーを作っている醸造所が村にはありまして」

「は~、驚いた。まだまだ美味い食材がここにはあるんですね」


「フロア村産のからし菜の種を使ったマスタードも欠かせません」

「うんうん、このマスタードがまた良いアクセントになっているのよね。は~~、幸せ」

「ほっぺたが落ちそうになるってのはまさにこういうものを食べた時の感想だよな」

 またアイリさんが目を細めて微笑んでいる。昨夜はあんなにアンアンと……っていかんっ! 邪気を感じ取られる。


「なんかあんた鼻の下伸びてるわよ」

 う、鋭い、さすがルシア。

「え、いやっ、うん。サンドイッチが美味しすぎて」

「ふ~ん……」

 ルシアは少しだけ僕をじろりと睨んだが、すぐに目の前の美味しい朝食に夢中となる。


「あら、このトマト、フルーツみたいに甘いじゃない」

「僕とアイリさんとベンリさんで作ったんだ、庭の畑で」

「ああ……ベンリのおっさん……あいつクソ雑魚だけど、生活魔法とアイテム制作は特一級なのよね。あのデリカシーのない性格じゃなければ、いまごろは綺麗な奥さんでももらってたんでしょうけど」

 美味しい食事の時に嫌な虫の話でもされたかのように、ルシアは眉根を寄せた。


「そ……そうなんだ。ルシアはベンリさんのこと知ってたんだ」

「ガンダーウルフ先生の弟子でアイテム作りでは最高の腕前もってる有名人だしね。聖杖クリスタニアの調整もベンリのオッサンよ。先代の大聖女からあれを受け継いだ時、あたし用に調整してくれたの」

「そんな凄い人だったのか、でも奥さんはいないんだ」

 ベンリさんがいつぞやカカアと言っていたのは母親のことか。

「風俗嬢には大変オモテです。お金持ち……ですからね」

 アイリさんが嫌そうに言った。そのひと言で僕はなぜベンリさんが結婚できないのか解かった気がした。


「ベンリのオッサンの話はもういいわ……あなた達にプレゼントがあるのよ」

「プレゼントですか?」

 アイリさんがちょっと(いぶか)しそうな表情でそう呟いた。


「そそ、魔物退治の報酬と、魔王を倒した時のお祝い、まだだったから」

 ルシアが(てのひら)に乗るほどの小さな箱を取り出した。箱にはとても綺麗な宝飾がしてある。これは白薔薇を白金で作ったのか? かなり高価そうだ。


 開けるとそこにはリングが二つ入っていた。銀色の綺麗な光沢がある指輪だった。一つにはダイアモンド、もう一つにはルビーが取り付けられていた。


「うわ……綺麗だ……そして高そうだね」

「あったりまえよ。リングはプラチナから作ったミスリル合金で、ダイアモンドには幸運とルビーには活力を強化する魔法がかけられてるのよ。どっちか気に入ったやつをあげようかと思ってたけど、ちょうどいいわ。アイリちゃんも好きな方取って」

「ではわたくしはダイアモンドのほうを」

「いいの? ユウキの活力なんかを強化すれば、夜寝かせてもらえなくなるわよ」

「ユウキさまには……元気でいて欲しいので……」


 僕を性獣かなにかとでもいうのだろうか。そりゃ確かにたまには調子に乗って羽目を外すが、これでも女の子の嫌がることはしてないつもりだ。


「ほら、ぼさっとしてないで手に取って」

 ルシアに促され僕はルビーの指輪を手に取った。

「あっ……凄い魔力だ。確かにこれは元気になりそう」

 僕は指輪を左手の人差し指にさした。アイリさんも見習って同じ場所につける。


「ふ~ん、そこでいいんだ……これ一応マリッジリングにもなるのよ」

「ああ……うん、そうだね」

 僕はちょっと恥ずかしくなった。顔が赤くなっているだろうか。

「わ、わたくしは……ただの使用人ですから」

 アイリさんもなぜか赤くなっていた。


 せっかくアイリさんが美味しく作ってくれたポタージュスープも、ルシアが変なことを言うので味がわからなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この小説のエッチなお話しを同人誌でやっております。
よろしかったら『同人サークルぶるずあい』ホームページまで!
https://bulls-ai.just-size.net/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ