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魔王を討伐したので年上メイドと辺境でスローライフします!  作者:


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勇者パーティー再結成?

「と、まあ、現場に来てみたんだけど。物凄い数の魔物の気配ね」

「考えなしに高位魔術師の工房に攻め入るとか、普通なら自殺行為だぞ」

「あたしたちは普通じゃないでしょ」

 ルシアが首をコキコキ鳴らしながら、腕をグルグルと回す。


 廃修道院は不気味なくらい静かで、元は豪華であったろう建物の壁の漆喰はところどころ剥がれ、屋根も傷んでいる。近くにいまは使われなくなった墓所があるのだが、酷く荒されていた。たぶん墓所の死体はほとんどがスケルトンにされたんだと僕は思った。


「ブレイブは起動できるの?」

「出来るけどSS剣技は撃てない」

「そう……やっぱり急速に勇者の因子が(おとろ)えてるようね」


 でも僕はぶっちゃけ、ブレイブを起動できなくても、通常の剣技だけでかなり戦える。剣技の型から始まり相手の動きを牽制するソニックブレード、遠距離を一気に詰めるフットワークまでしっかり叩き込まれている。僕の剣の師匠は剣聖と呼ばれた途轍(とてつ)もなく強い剣士だった。その数多い弟子の中でも僕は最強と言われた。


「このアンデットの気配、かなり古いリッチね。今まで潜伏してたんでしょうが、精気欲しさに墓を漁ったのね。今のところは閉じこもっているようだけど、そのうち生きてる人間に手を出すでしょうね」


 死霊術の不死の魔法はまったく万能ではない。確かに数百年の寿命を持ったアンデットもいたが、存在を維持するためには、魂や精気を他者から奪わなくてはいけない。

 大抵は不幸な犠牲者をいくつか出したところで、討伐される運命になる。


「アンデットにはわたくしの魔法は効きが悪いですが、防御魔法で援護しましょうか?」

「ええ、防御は任せるわ。ここにはアンデット以外にもファングラット系のモンスターもいて、どうやら使い魔にされてるようなの。そいつらはアイリちゃんの暗黒魔法で排除してもらえるかしら」

「心得ました」

「じゃあ、前衛はユウキね。突撃するわよ」

「はいよ~」

 間の抜けた返事をしながら、僕は修道院の入口のドアを蹴破(けやぶ)り、内部へ突入した。


「いるいるいるいる。ゴキブリみたいにスケルトンがいるわね。ゆっくり眠っていたのに……今、解放してあげるわね」

 スケルトンたちは錆びた剣や農機具を武器に持って、礼拝堂の中におびただしい数いた。

 普通の冒険者なら、この数のスケルトンを相手するのは骨が折れるだろうが、こちらは浄化の魔法を使わせれば、世界に並ぶものはいない大聖女がいるのである。


「聖なる光りよっ! 呪いに操られし魂を解放したまえっ! ターンアンデット‼」

 ルシアの持つ聖杖から光が走り、スケルトンの群れを包むと、ガラガラ音を立てスケルトンは崩壊した。


「さすがだな~」

「ユウキさま、前方の彫像、ガーゴイルです」

「うん、解ってる」


 僕は居合抜きの要領でブレイブを抜剣する。起動はしなかった。

 ガーゴイルは右と左に一体ずつ。ズバンッと抜剣の音が礼拝堂に鳴り響いた。僕の作ったソニックブームが右のガーゴイルに命中し、石でできた身体は真っ二つになった。

 そのまま剣を上段に構え、もう一方のガーゴイルを斬りつける。その一度の斬撃でガーゴイルはバラバラになった。とりあえず付近に敵は……。


「奥からファングラットの群れ、来るわよっ! 間違っても噛まれるようなヘマはしないでよ」

「もちろんです。ルシアさま」

 アイリさんが魔力を練る。それを見て僕はぎょっとした。ルシアも驚いてる。真っ黒い死のオーラ、凄まじい魔力の密度、魔王が使った魔法のようだった。


 アイリさんの魔法はシンプルなものだった。魔力を練ってただぶつけるだけ。もっとも一般的な攻撃魔法のスタイルだったが、威力は途轍(とてつ)もなかった。百を数えようかというファングラットの群れは一瞬で骨も残さず消え去った。


「ひゅ~、さすがブラック家の娘ね」

 正直、僕はアイリさんの実力は父君や兄よりも劣るものだと思い込んでいた。でも多分違う、アイリさんがブラック家の中で最強だろう。


 僕は何の躊躇(ちゅうちょ)もなく、アイリさんの処女に手をつけ、避妊もせず彼女と身体を()わした。そうすることが自然な気がした。それは僕の勇者の血が彼女と子供を作ることを望んだんだと、この時気が付いた。


「さてと……ご本命のリッチさまは地下墓所のようね」

 僕達は罠に気をつけながら、慎重に地下に踏み行った。リッチは逃げも隠れもせずに地下墓所の奥にいた。

 真っ黒なローブを着た死体、それがリッチの姿だった。顔は青白く血が通ってるようには見えなかった。顔立ちがハンサムでそれが余計に不気味だった。


「ここまでのようだな。わしも覚悟を決めよう」

 リッチは親し気な友人に話しかけるようにそう言った。


「ずいぶん落ち着いてるのね、もう手下はいないんでしょ? 生き延びられるとでも思っているの?」

「いや、思っていない。そなたたちは強すぎる」

 リッチは本当に争う意図がなさそうだった。僕は抜剣したブレイブをさやに収めた。


「永遠の命など、最初から無かったのだな。ただわしは死ぬのが怖かった」

「リッチになったって、飢えと渇きにさいなまされるだけでしょ」

「本当に……その通りだった」


 このリッチはかなりの時間、飢えに抗い潜伏していたようだが、恐らくもう耐えきれなかったんだろう。

「生きている人間には手を付けておらん、そちらのお嬢さんはかなりの高位な聖女とお見受けする。その魔法で浄化してくれ」

「私は大聖女ルシア、こっちは勇者ユウキにブラック家のアイリさんよ」

「はっはっは、……それは敵わんはずよ。皆そろって人類最強クラスの猛者ではないか」

 骨と皮だけになったリッチだが、その表情は確かに笑っているように見えた。


「さあ……頼む、一思いにやってくれ」

「ええ……」

 ルシアの魔力が聖杖の先端に集まり、光の束になってリッチを包んだ。

「ああ……見える……これが……死か……綺麗だ……」

 リッチはルシアを見つめながら、浄化の光を受け入れた。


 ガラガラと音を立ててリッチは崩れ去り、灰だけが残り、その灰も風に散って消えた。


「あいつ多分、王族か元大貴族ね」

「確かめなくてよかったの? ルシア」

「子孫の迷惑になるだけじゃない。訊いてもたぶん答えなかったわよ」

 ルシアはう~んといって背筋を伸ばし、それから真面目な顔をして僕達の前にしっかりと向き合った。


「アイリちゃんの魔法……想像以上だった。暗黒魔法がどうとか言わず、勇者パーティに入れるべきだったわね」

「ほんとだよ。アイリさんは誘われなかったの?」

「わたくしは……誘われたことなどありません……そんな資格のない女ですから」

 む……やっぱりなんか事情があるのだろうか。


「ま……過ぎたことはいいわ。とりあえずクエスト達成、報告に戻るわよ」

「うん、帰りにラーメン食べよう」

「ラーメン? なにそれ?」

「すごく美味しい東方料理だよ」

「ふ~ん、ここ何日か遊び歩いてたようね、美味しいものを沢山見つけた?」

 ルシアがごくたまにしか見せない、優しい笑顔で言った。この時本当に僕達二人を祝福しようと思ったんじゃないかって、僕は感じた。

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