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魔王を討伐したので年上メイドと辺境でスローライフします!  作者:


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15/30

宴会

 村の中央にある広場でかがり火が()かれ。周囲を明るくオレンジに彩る。

 かがり火から少し離れたところに木製のテーブルがいくつも並べられ、様々な料理や飲み物が置かれた。


「うわぁ……凄いな」

 普段はとても静かなこの村のどこにこれだけの人がいたのだろうと思うくらい宴会は(にぎ)わっていた。


「「勇者さま、姫さま、この度は村人の窮地を助けてくださり、本当にありがとうございました」」

 大勢の村人が一斉に頭を下げ僕たちにお礼を述べた。僕は少し気恥しくなりながらそれを聞いていた。


「今夜はこの世界の救世主、ユウキさまをもてなす祭りである。皆の者、感謝の気持ちをしっかり持ち存分にこの夜を楽しんでくれ」

「おおー」

 と村人たちから声が上がる。


「勇者さまと姫さまに、カンパーイ」

 地ビールが入った木製のジョッキを掲げ、村人たちは嬉しそうに笑った。


「すげー、すげー‼ 本物の勇者さまだ。カッコイイ! その布にくるまれてるのが聖剣ブレイブなの?」

 目をキラキラと輝かせた村の子供が、興奮しながらそう言った。


「コレッ! 勇者さまに失礼でしょう!」

 すぐさま母親が見咎めて、子供を叱る。

「ははっ、良いですよ。僕は気にしてません。これ……見たかったの?」

 僕は布をといて鞘に収まった聖剣ブレイブを見せてあげた。

 ブレイブは見事な装飾と呪文のルーンが刻まれた美麗な剣だ。かなり使い込んでいるのだが、自己修復機能がありまるで新品のようなのだ。


「マジでっ‼ すげーすげー、おとぎ話に出てくる剣でしょ? 本物はすげーかっけー」

 子供は大興奮で飛び上がって喜んだ。

「本当にすみません。勇者さま」

 母親が恐縮してあやまるのを、僕はいいですよ。と制し子供の頭を撫でた。


「俺、将来の夢は冒険者なんだ。勇者さまみたいに人を助ける正義の冒険者になりたいんだ」

「なら、お母さんの言うことをよく聞いて、お母さんのご飯をしっかり食べて、強い子にならないとな」

「え~、そんなもんかな?」

「そうだよ。僕も小さい頃は孤児院のシスターの言うことをよく聞いて、シスターが作ってくれたご飯と近くの酪農家が搾った牛乳を沢山飲んだんだよ」

「え~、俺牛乳嫌い」


 そんなやりとりをしていると、ふとアイリさんが目を細めてこちらを見ている。目が合った、僕も笑う。

 村人たちに程良くお酒が回ってきたところで、楽師がギターを弾いて、笛と太鼓が合わさり、それに合わせて男女がペアになって踊り始めた。

 宮廷の上品なダンスではなく、泥臭いが素朴で楽し気なダンスだった。


「アイリさん、一曲踊りましょう」

「えっ⁉」

 最初アイリさんは少し驚いて、それから少し頬を赤くし、そして僕の手を取った。


 二人で踊る村人の中に入っていく。皆笑顔で手を叩き、口笛を吹いて僕らを歓迎してくれた。

 ダンスは一応人並みにはできる。よくルシアとパーティで踊った。その時もこんなふうに歓迎されたっけ。


 かがり火に照らされたアイリさんの横顔が綺麗だ。アイリさんは少し恥ずかしそうにしていた。ダンスはそれ程手慣れた様子ではないが、一応教養として身につけていたんだろう、迷いのない動きだった。


 その後村人たちに誘われるまま、年頃の娘の手を代わる代わる取って僕は踊り続けた。アイリさんは僕と踊ると、そのまま隅っこのほうに逃げてしまい、ちびちびとビールをやっていた。


 少し汗ばむくらい動いて、僕もビールで喉を潤した。そこへ村長がやってきた。

「どうですかな? 気に入った娘がおりましたら、紹介しますぞ勇者さま」

「はは、いいです。アイリさんに睨まれそうですし」

 アイリさんは素知らぬ顔をしていた。正直僕は女の人のことがけっこう好きだが、村娘の中にアイリさんを超えるような女の子はいなかった。


「その、領主さまは来られてないんですか?」

「来ておられませんな。村人総出ではありますが、領主さまはたぶん勇者さまを恐れているんでしょう」

「今の僕に大した権限はありませんが、村の人たちの良いようになるよう、出来るだけ努力します」

「これはありがたい言葉、この村はもう勇者さまの第二の故郷とでも思って、何でもおっしゃってください」

 僕は素直に頷いて、村長にお礼を述べた。


「ところで勇者さま、こちらはお試しいただけましたかな?」

 村長はそう言って、テーブルのひとつを指さした。そこには原木の生ハムが置かれていた。丸々足一本分だ。薄く切れるよう研ぎ澄まされたナイフが置いてあり、そぎ切りにして食べるのだろう、少し食べたあとがあった。


「わあ、生ハムですか。これはまだ食べてなかったです」

「酒のつまみに最高ですぞ、勇者さまにひとつ食べさせてやってくれ」

 村長さんが近くの農家の娘にそう言うと、娘はいそいそとハムを薄切りにしてくれて、皿にもって僕のところへ持ってきてくれた。


「ありがとう」僕がそう言うと娘は頬を赤く染め、どういたしましてと言った。

 熟成された肉の脂身から良い匂いがする。身は透き通っていて硝子細工のように綺麗だった。

「三年寝かせたものです。旨味がたまらないですぞ。ささっ勇者さまどうぞ召し上がってください」


 僕はハムの一切れを口に入れる。まずしっかりとした塩味が舌を刺激して、そして肉の濃厚な旨味がする、複雑で芳醇な味だ。脂身は甘く爽やかで全然くどくない。

「こ、……これは美味い」

 後口も爽やかで、これは何枚でも食べられそうな味だ。これが元はただの生肉だったのだと信じられないような美味さだ。冒険中よく食べた携帯食の乾いたジャーキーとは比べ物にならない。


「こちらのメロンに乗せて食べるのも絶品ですぞ」

 村長さんの勧めてくれたメロンは水分の少ないタイプで、甘さ控えめのメロンだと思う。黄色い果肉が綺麗だった。


 またさっきの農家の娘さんがメロンを切ってくれた。僕はそれに生ハムをたっぷり乗せ、頬張った。

「なんてことだ。そのまま食べるより何倍も美味しいじゃないか」

「そうでしょう、このメロンは腕利きの農家が生ハムを食べるため特別に作った逸品ですぞ」

「うん、すごく相性がいいです」

 ほっぺがおちそうで、僕の表情は緩みまくってしまった。


「喜んでもらえてなによりです。今度出来の良いものを原木一本、お屋敷に届けさせますゆえ、またいつでもご所望ください」

「うおおお……マジでありがとうございます」

 こんな生ハムを好きな時に食べられるなんてすごい贅沢だ。僕は小躍りしそうになる。


 こうして夜更けまで、地ビールと美味しいつまみとダンスで楽しく過ごした。

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この小説のエッチな話しを同人誌でやってます。

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