86.さあ、誰の手を取る?
「お待たせ致しました」
ロイさんが、到着を告げた
カイリ殿下とトキ殿下は、お揃いのローブを羽織って、旅の装いに身を包んでいる。軽装でも、いつでもこの2人はかっこいい
ルイ君とルカ君は、旅慣れたカジュアルスタイルで、なんか可愛い
4人は私を見つけて集まってくる
「みさきは誰と一緒に行きたい?」
と、トキ殿下が言うと、
カイリ殿下が、無言でスっと手を出した
「あっ!兄上ずるい!!」
「僕もみさきと一緒がいい!!」
ルゥ君達も、スっと手を出した
「もちろん僕でも構わないよ?」
トキ殿下も、手を差し出す
え…………
これ……私が選ぶんですか??
選べなくない?!(汗)
無理ですーーーー!!
誰を選んでも角が立ちそうな気配が………
私は、意を決して答えた
「ら……ラディアさんで、お願いします」
少し離れたところで出発の準備をしていたラディアさんに一斉に視線が集まる
その視線に気づいたラディアさんは
「どうかなさいましたか?」
と聞いてきた
「みさきは、ラディアと一緒が良いそうだ…」
こころなしか、声に力がないカイリ殿下が答えた
「そうでしたか……それでは…」
ラディアさんは私の元に歩み寄り、片手を取って私を真っ直ぐ見つめる
「わたくしが、ご一緒致します」
と挨拶し、そのまま手を引いて、馬の所へエスコートされる
後ろからは、4人の視線が痛い
すいません……だって、誰を選んでも、なんか申し訳無いじゃん………
ラディアさんは、手際よく私を馬に乗せると、
「さあ。皆様、参りましょう」
と、出発を告げた