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81.朝食

サンドイッチや、スコーン、色とりどりのサラダに、フルーツ


お皿を飾るように並べられた品々はどれも見ていて美しい


どこから手をつけていいのか……

ずっと眺めていてもいいかもしれない


「食欲無い?」

トキ殿下が聞いてくる


「いえ!そんな訳ではっ……」


「はい、あーん」

そう言ってフルーツを口元に運ばれる


「自分で食べれ…ま……」


言いかけると、開いた口にフルーツが差し込まれて、アワアワした

甘酸っぱいフルーツの果汁が口いっぱいに広がる


トキ殿下はニコニコしながらほおずえをつき

私の慌てっぷりを見ている


「食事は大切だよ」

と言って、私の前髪をサラッと撫でて、流れる髪を耳にかけた


(んーーーっ!!)


恥ずかしさの余り、顔を逸らすと、

反対側からはクリームが塗られたスコーンが差し出された

そのスコーンを持つ手を辿ると、もちろんカイリ殿下が私を見つめている


「ん?」

目が食べないのか?と訴えてる


(食べます食べますが………)


断ることも出来ずに、控えめに口を開ける


(待ってくださいカイリ殿下!一口にしては大きいとおもうんですがっっ!!)


一口では収まらなくて、結局アワアワすることになる……


(ん~~んーーっ!)


その光景を、カイリ殿下も穏やかな表情で見つめている


すると、

「クリームが着いてるぞ」

と言って、フッと笑うと、私の口端に着いたクリームを指でスルっと拭って、ぺろっとなめた


(………////もぅ耐えられない)



「みさきー。顔赤いよ?お熱ある?」

ルイくんが目の前から、要らない実況中継をしている


(恥ずかしいんです!!こんな……右からも左からも、恋人のイチャイチャみたいな…!!)


私は思わず立ち上がった

でも、もちろん逃げ場所は無くて、大人しく再度座った


その光景をみんなは不思議そうに見ている


(見ないでください。もぅ、自分のぎこちない表情が整いませんっ!!)


私はそのまま顔を隠すべく、テーブルに突っ伏した


「あ~。兄上がみさき泣かした~」

ルカ君が茶化して言う


(泣いてません!恥ずかしさのメーターが振り切ってしまっただけです!!)


「ごめんね……食べたくなかった?」

「すまない……嫌だったか………」


二人のしょんぼりした声が左右から聞こえる


そうだけどそうではなくて……


私はグリグリと頭を左右に振った


2人は私の頭に手を置いて、髪をサラサラと優しく撫で始める


「そうだ。兄上。例の件わかったの?」

ルイくんが話題を振った


「あぁ。実際にラディアに行って貰った」

「ラティア?報告を願えるかい?」


「かしこまりました」


(一体なんの事??)

私は聞いた方がいいのか、聞かない方がいいのか、分からないけど、でも、この姿勢で聞き続けるのは、なんかまずい気がして、体を起こした


すると、両サイドの2人は、テーブルに乗っている私の手の上から、ふわっと自分の手を重ねた


二人の暖かい手の温もりに、自分の体が冷たいことを自覚した

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