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8.目覚め

「う……うぅ……」


うなされながら目を覚ますと、見知った部屋だった


(帰ってきたんだ)


頭の中を整理する

なんか、大変な人に助けて貰ってしまった…

しかも、私、逃げ出すように帰ってきた気がする

失礼極まりない……


冷静になって思い返してみると、殿下とも呼ばれる御方にあれやこれや……


コンコン…

ガチャリ


「あ。お目覚めになられましたか?」


えりちゃんが食事を持って入ってきた


言うべきか…言わざるべきか…


「体調はいかがですか?」

「大丈夫。だと思う」


私がモヤモヤ答えると、


「では、昨晩のことをお話し願えますね?」

と、エリちゃんの後ろから、間髪入れずにユミさんの尋問が始まる


そりゃそーですよね…。


「実は……。」


私は昨晩のことを話した

満月の泉の水がなくなってしまったことも、鏡が割れてしまったことも


「水が……ですか。。。。」

ユミさんは難しそうな顔をした。


え。やっぱりヤバイっぽい?


「あの…私、これからどうしたら良い…ですかね…?」


私が不安そうに聞くと、ユミさんは


「恐らく必要が無くなったのかと存じます。」

「必要ない?」


「はい。きっと、浄化を担ってくれる方がこれから現れるか、もしくは、もうお会いになられているか。」

「…………………え………………」


「みさき様は特別な御方ですので、魔力の性質もこの国の者とは異なります。泉はあおい様の魔力でできていますので、あおい様のお示しかと。」

「鏡でお渡りになれない以上、どの道あちらでの浄化は不可能です」

「ところでみさき様?表からお帰りになったようですが、どのようにしてこちらまで?」


うっ……隠していたことをズバッと聞かれた

多分この国のたいそう身分の高い方に手厚く送って頂きました。なんて言ったら、ユミさんのお説教が飛んできそうだ…。


ユミさんは厳しい。私がちょっと手抜きをしようもんなら、無表情で、淡々とお説教をはじめる…。

観念して話すしかないか。と、腹を括ると、

チリーン

っとベルが鳴った

訪問客のようだ

エリちゃんが対応に向かうと、珍しくドタバタと走って戻ってきた


「エリ。走るのではありません。あなたには何度も申し上げましたね?この聖堂では……」


お説教が始まりそうなところを無視してエリちゃんは言った


「カイリ殿下がいらっしゃいます!!!!」

すると、お説教モードだったユミさんが冷静になり、

「急ではありませんか?戴冠式は随分先のはずですが、その前に。ということでしょうか?」

と答えた


(え?カイリ殿下?なぜ?ってか、やっぱりまずかった?ここまで送ってもらったのに、お礼も言わず…やばい。ヤバすぎる。無礼者は打首じゃ!とかなるんかな…どうしよう……)


「みさき様には…」

そう言って私に向き直り

「ご負担を考えて、お話出来ずにおりましたが…」

「王太子殿下がこれからいらっしゃいます。おそらく今回はご挨拶程度かと存じますが…そろそろ、みさき様にも少しずつお教えしていかなくてはなりません。」


そう告げると、なぜかユミさんは苦しそうな表情をした



この国のことはよく知らない

お姉様はあまり教えて下さらなかったし、

国家や政治のことについては、触れてはいけないと、ユミさんに言われてきた


私は、打首になるかも!っと焦る気持ちも、カイリ殿下が王太子であることの驚きも、この国このことをなにも知らないという不安も、何もかも忘れるくらい。ユミさんの苦しそうな表情が

気になって仕方がなかった…


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