73.来てしまった
私がモンモンと考えていると
コンコン
扉をノックする音が響く
「失礼致します」
ユミさんに丁寧にご案内されてきたのはもちろんあの二人だった
「遅くなったな」
「体調どぅ?」
そのまま私の元に歩み寄ってきて私を見下ろす
だからロイさんに言わないでって言ったのに……
顔が見れない
あんな醜態を晒した翌日にどんな 顔で会えば良いのか
すると、ルイくんが私の片腕にしがみついて
「みさきは、恥ずかしくて兄上に会えないって」
と言った
ちょっ!!!
私はルイ君の方を向き、パクパク口を動かす
ルカくんも、私の反対側の腕にしがみついて
「でも、嫌いなわけじゃないって」
と言った
私は、パッとルカ君の方に向き直った
待って待って!!
その通りだけど、待って!!
「「………………。」」
頭上では2人の無言の戸惑いが感じられる
「だって、カイリ。」
「そういうことだ、トキ。」
2人は納得したのか、言葉を交わしあっている
「兄上達は忙しいでしょ?今日はボク達がみさきについていてあげるよ」
「僕達なら、みさきも安心だよね?」
これは……このままずっと両脇を固められ続けるということだろうか……
「わかった。何かあったらすぐに知らせを飛ばせ」
「もし頭痛治まらなかったら、これ飲んで寝てね」
トキ殿下はピンク色の細工のあしらわれた小瓶をコトンとテーブルに置いた、
「僕がみさきのために特別に作ったものだから、安心して」
「じゃあ、ルゥ達、後は任せる」
そう言って、二人はロイさんを連れて去っていった