69.分裂する体と心
私はどこかからその光景を見下ろしている
部屋には色な人が現れる
きっとこの王宮のお偉いさんたちだろう
みんな、浄化を求めてやってくる
王宮内の魔力の穢れが酷すぎるから
お姉様が失踪して数日が経つ
私は出来ないと拒むけど、そんなのお構い無し
ある人は、あれやこれや、言葉を浴びせ、罵倒しながら去っていく
聞きたくない
聞いてはいけない
私は耳をそっと塞ぐ
またある人は、優しい言葉で徳を解き、私の心に入り込もうとする
困ってるなら…と、手を貸そうとしたら、部屋に連れ込まれて汚された
信じてはいけない
心を開いてはいけない
私は心をそっと閉じた
私が浄化を自分で行うことが出来ないことが知れ渡ると、私は体を弄ばれた
嫌だ……
どんなに抵抗しても叶わない
魔法や薬品で体の自由を奪われる
逃げようとすれば力づくで押さえつけられる……
苦しい…
何をやっても逃れられない
息を殺して、じっと耐えるしか方法はなかった
それしか出来ない……
皆は口々に言った
『使えないマリアだ』
私は自分のその光景を不思議と外から眺めている
心を殺さなければ耐えられない
心はどこに行ったんだろう
『心を育みなさい』
あおいお姉様はそういった
心って……なんだろう………
上を見上げれば綺麗な星空が見える
大きな月に照らされて、私は手を伸ばして、その月に触れようとした