64.久しぶりのカイリ殿下
窓際に置いた薔薇は未だにつぼみを着けたまま、窓の外を向いて、その花が開く時をじっと待っているようだ
「練習って……どうすればいいんだろうね?」
私は薔薇の蕾に向かってに話しかける
蕾を指でツンツンとつつきながら、いつ咲くのかなぁ~と、蕾を見つめる
「いつ咲いてくれるの?」
蕾は花を咲かせる気配がない
『咲きそうか?』
「!!!????」
思いがけないところから声が聞こえて、パッと後ろを振り返る
いつから見られてたの?!!
1人で花に向かって話しかけてる姿なんて……
恥ずかしすぎません?!
「あの……いつからそこに………」
「何かの練習をしているのか?」
「いいい!!いえっ!!何も!!」
動揺を隠せない私はしどろもどろになりながら答えた
「あの、ライラさんから頂いたお花なんですが、蕾のまま咲かなくて……魔力使えないので、話かけるといいって言われて、それで………」
言い訳しながら、私はズリズリとソファーの元へ歩を進め、ちょこんとソファーの端に腰掛けた
カイリ殿下も私の目の前のソファーに腰掛ける
なんだか随分久しぶりな感じがして、ドキドキする。
今までどうやってカイリ殿下とお話してたのか。とか、全て振り出しに戻ってしまったような感覚
何故か緊張する……
トキ殿下があんなこと言うから
余計に緊張しているだけだ!
きっとそう!
私はそう思い込むことにした
「トキはどうだ?」
カイリ殿下はいつもながら、唐突に話の話題を振る
「どう……とは……?」
「一緒にいて、どうだ?」
改めてどうかと聞かれると、うーん……
甘やかされ過ぎて、時に恥ずかしさも忘れ、今となっては、その腕の中の安心感半端ない。
とか
言えません……
「トキ殿下は……甘やかしのプロです」
「確かに。アイツは、あのルゥ達でさえも心を開かせたからな。甘やかすのが上手い」
「嫌じゃないなら、みさきも沢山甘えるといい」
え。いや……それはそれで、私の心臓がもたないかも……
「そういえば、ルイくんと、ルカくんが人見知り?だったなんて、今の姿からは想像できません」
「ん?あぁ。そうかもな」
カイリ殿下は、過去の思い出を遡っているのだろうか、どこか寂しげな表情をした
「2人には何かあったんですか?」
「知りたいか?」
「えっと……聞いてはいけない話なら無理にとは……」
「構わない」
そう言ってカイリ殿下は語り始めた