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62.二度寝はキスの後で

「みさき?」

「みさき??」


トキ殿下の声が聞こえる

うっすらと目を開けると


心配そうに覗き込むトキ殿下の顔があった

殿下は私の目からこぼれた涙を指ですくった


「大丈夫?」

「あっ…ううっ……グスッ」


何故か涙が止まらない

涙って悲しい時にでるものじゃないの?

何が悲しいのか分からない


「うっ………グスッ」


小さく丸まろうとする私を殿下が抱き上げて体を起こすと、自分の胸元に顔を抱き込み、頭を撫でた


「何か。見た?」


私は胸元に顔を埋めたまま、ただ涙を流すばかりだ


「そぅ……」


コントロール出来ない自分の感情に支配されている現状を上手く説明できない


トキ殿下は何も言わずに、ずっと優しく私を撫でてくれている


私が少し落ち着くと、ゆっくり私を自分から引き剥がし、私の頬に手を添えた


「まだ、夜が明けないからね。もう少し眠るといい」


そう言って、私の唇に親指を引っ掛ける


私は、なされるがまま、うっすらと口を開けると、トキ殿下は顎に手を添え、自身の唇を重ねた


私が支配されていた感情の渦が、塗り替えられる

舌先で送られてくる、甘くて刺激的な魔力が注がれ、その官能的な痺れに身をよじる


「んッ………ァ……ンンッ…」


上手く息ができない私に気づいたトキ殿下は、時々唇を離して息継ぎさせてくれた


「ぅ……んっ……ん…ハァ………っんん」


声にならない吐息だけが部屋に響く


トキ殿下はぺろっと口元を舐めて唇を離すと、耳元に顔を寄せ、首筋にチュッと口づけし

「ちょっと刺激的すぎたね?」

と囁いて私を抱いたままベッドに横たわった


私はトキ殿下の腕に抱かれたま、再び眠りについた

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