51.トキ幽閉生活に終わりを告げる
次の日カイリは、トキの元を訪れた
いつも通り朝食が用意され、ロイがティーカップにお茶を注いでいる
「………ということで、文句を言う者は誰もいない。トキ、今日から朝廷にも来てもらう。あと、王宮に引越しだ」
カイリは、昨日の朝廷での話をトキに伝えた
「…………マジで?」
「嫌なのか?」
「う~~ん………」
「側近にロイを付ける。その方が動きやすいだろう」
「時期がちょっと早まっただけだ。大人しく出てこい」
「でもさぁ、やっぱり、色々と面倒じゃないかな?僕がいると」
「自由に会えない今の環境の方が面倒なんだが?お前のワガママに付き合ってやったんだ。俺のワガママにも付き合え」
「はぁ……仕方がない。引きこもりやめるかぁ~」
「引きこもりの自覚あったんだな?」
「ん?」
和やかな空気で朝食が進む
「みさきは、あの後大丈夫だったか?」
カイリは、自身のせいで体調を崩したみさきの、身を案じた
「あ~~それなんだけど……」
「実は、催眠効果のある香の魔法を使ったんだけど、丁度いいから、みさきの過去のことで、隠してることがないか確認したいな~なんて思ったんだけど……」
そこまで言うと、ちょっと申し訳なさそうにしつつも、穏やかに微笑みながらトキは言った
「可愛い姿見せてもらっちゃったな~」
「お前……何して………」
カイリは一瞬眉間にしわを寄せ、トキをにらんだ
「待って、そんな怒らないでくれ」
「彼女、魔法があんなに効きやすいなんて思わなかったんだよ。良くも悪くも、魔力の影響を受けやすいってとこかな?」
「まぁ、そうではあるな」
カイリも思い返して同意した
朝食を終え、朝廷に向かおうとするカイリに
「あ。ちょっとまって。そういえば、ライラがみさきちゃんにお茶会の招待状送ったって言ってたんだけど」
「そうか……そちらはフェンに任せるとしよう。お前はこっちだ」
そう言って、有無を言わせずトキを朝廷に引っ張り出した
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朝廷が終廷し、これからの準備に取り掛かろうとした矢先、フェンからの遣い鳥が届いた
「後宮で何かあったらしい」
「おや?あそこはだいぶ強めの結界があるから、外部の魔力的介入は余程のことがない限り無いはずだけど……」
「とにかく向かおう」
2人は共に後宮に向かった