44/174
44.トキ殿下
フワフワと意識が戻ってくる。辺りはいい匂いの香が漂っている
皆は帰ってしまったのか、長椅子のソファーに私は1人で横たわっていた
「目が覚めたかい?」
紫色の瞳が私を見つめる
「あの……」
カイリ殿下の魔力にあてられて具合が悪くなったのは覚えてる。
私が言いかけると
トキ殿下は、私の唇に人差し指を立てて
「大丈夫。心配ないよ」
と言ってニッコリ微笑んだ
「それより具合はどうだい?」
私が起き上がると、トキ殿下はその隣に座って、言って私の手を握る
トキ殿下の両手は漆黒の手袋で覆われていた
なんでだろ?
王子様が白い手袋をしているのはイメージあるけど、黒なのは何か意味があるのか……ないのか……
「みさきって呼んでいいかい?」
「はい。ご自由にどうぞ……」
「みさきは僕のこと怖くない?」
「ん?特に怖い要素ないと思うんですけど……」
私は正直に答えた
「僕はね、『毒』の魔力特性を持っているんだ。そうだね。少し僕らのことを話そうか」
そう言って、トキ殿下は、自身のことを話し始めた