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42.本日の議題

「じゃーまず、どの話題から行こっか?」

トキ殿下がおもむろに話し始める


「ルイはどうだ?」

カイリ殿下がトキ殿下に問う


「魔力使用の負荷がかかりすぎてるだけ。元気そうだけど、あと3日位は魔法の使用は禁止。いいね?」

そう言ってルイくんに釘を指した

ルイくんは、ウンウンと頷く


「よし。いい子だ。」

と、トキ殿下はルイくんを褒めて微笑む



「あと、私がこの国から離れていた頃の国の資料を漁ったが、どれもこれも記述が怪しい。その辺を調べて欲しい」

「なにか気になることがあるのかい?」


「その辺は後でまとめて説明する」

そう言って、カイリ殿下はちらっと私の方を見た


「ふぅ~ん……。」

トキ殿下は私を見据え、

「あ……そういえば、挨拶がまだだったね?」

と言って立ち上がり、私の足元に跪いた


トキ殿下の紫色の瞳が私を見上げる

「私はトキ。行く行くはカイリと共にこの国の王位を次ぐ者だ」

トキ殿下は漆黒の手袋をした手を、私に向けて控えめに差し出した


手を出されたら、その手に自分の手を重ねるという行為が染み付いているので、私は何も考えずにトキ殿下の手をとった


殿下は、一瞬少し驚いたような表情をしたけど、直ぐに表情をやわらげ


「美しいレディにご挨拶を」

そう言って私の手の甲にチュッと口付けをした


うっかりしていたけど、そうだ。そんな流れ前にもあった、急に恥ずかしくなってきた……


自然と手を取ってしまったのはある意味慣れかもしれないけど、その先の挨拶に慣れる訳がない


恥ずかしくて、空いてる方の手で口元を隠す


トキ殿下は、私を真っ直ぐ見上げてくるけど、私の目は泳ぎまくって、目が合わせられない……


すると、カイリ殿下が助け舟を出してくれた

「トキ。みさきが困っているだろう?離してやれ」


とりあえず手より視線を……


トキ殿下はモダモダしている私を見て、クスリと笑うと、私の手を自分の方に引き寄せ、耳元に顔を近づけた


「ぅわっ……」

いきなり近づいた距離感に驚いていると


「君は随分と恥ずかしがり屋さんだね?」

と甘く囁いて、私を解放し、カイリ殿下の隣に帰っていく


顔が熱い!

パタパタと顔を仰いでドキドキを沈めようとしても、熱は冷めない……


(カイリ殿下より攻撃力高めかもしれない……)


きっと、ご令嬢とかなら、「よろしくてよっ」みたいに得意げに対応するのかもしれない(妄想でしかない)


私には無~理~



「カイリ?」

「なんだ?」


「聞いてたより随分可愛い子だね?」

「引きこもりを辞める気になったか?」


「僕が『幽閉されている』ことで手に入る平和も大切だと思うけど?」


双子の会話がテンポよく進むところでカイリ殿下が少し間をとると、真剣な顔をして


「……人が犠牲になって守られる平和に何の意味がある?」


と、少しお怒りモードな口調で言い捨てた


素っ気ない言葉遣いはいつもの事だし、口数も少ない。でも、お怒りモードなカイリ殿下は見たことがなかった


肌がピリピリする

(うぅ……これは……久しぶりに……)


体の中の不快感が拭えない

魔力が強い人の負の力は影響力が大きい

頭がズキズキする


「みさき?大丈夫??」

ルイくんの声がするけど答えられない

そのままパタリと横になると


「カイリ。その魔力はしまった方が良い」

と、トキ殿下が冷静なトーンで言ったのを聞いて、私はスッと目を閉じた

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