39.幽閉とは?
扉の中に入ると、大きな天窓から太陽光が降り注ぎ、窓からは遠くの街並みも一望できた
え?ここどこ??
私は確かに地下に下った。地下牢と聞いていたのに。あれ?
困惑した表情を察してフェンさんが説明してくれた
「先程通った結界は、通る人物によって、空間を歪ませて違う場所と繋げるものです。登録してある者以外が通ると、きちんとした地下牢へつながります」
「ちなみに、こちらは塔の最上階となっております」
(上に登る階段なんてどこにもなかったのに……)
「幽閉って聞いたから、牢獄想像しちゃいましたよ……。」
「はい。一応この塔は牢としての作りを成していますので、外部から容易に侵入することも、安易に面会することも出来ません」
「でも、どっからどう見ても豪華なお部屋そのものなんですが……」
「それは、半分魔法で構築された部屋ですので、魔法を解けば先程通ってきた道と変わらない作りでございます」
(マジで魔法ってなんでも出来るんだ……)
ガチャ
奥の扉が開く
『カイリ。随分と久しぶりじゃないか。元気にしてたかい?』
少し長めの黒髪を後ろで束ねて、紫がかった瞳がカイリ殿下を見つめている
カイリ殿下にどことなく似たその人物は懐かしさと嬉しさとが混ざった優しい表情をしていた
「あぁ。そうだな」
カイリ殿下は素っ気ない返事を返すが、表情は和らいで、トキ殿下との再会を喜んでいるようだった
(自主的に幽閉って言ってたけど、いつから2人は離れ離れで過ごしているんだろ)
やっぱりカイリ殿下は謎が多すぎる
「ルゥ達も呼んであるから」
そう言ってトキ殿下は、奥の部屋に案内してくれた