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37.翌朝
よく寝た
ものすごくぐっすり、夢も見ず、スッキリ目が覚めた
そして、隣にはもちろんカイリ殿下がいる訳で………
(まつげ長いな……)
そんなことを観察していると、カイリ殿下は目を開け、その赤い瞳を覗かせた
「おはよう」
「おはよう……ございます」
朝の挨拶をかわすと、殿下は起き上がり、上着を羽織った
私は体を起こして、その姿を見つめる
殿下は私に向き直ると、袖まわりを整えながら
「みさき。君に会わせたい人がいる」
と言った
「会わせたい人?」
一体誰を?
いつもながらカイリ殿下の提案は唐突だと思うんです
そして、意図が読めなくて困ります
「あぁ。本人が引きこもってるから、こちらから行くしかない。いい加減出てきて欲しいんだがな……」
(な……なるほど?)
「一旦王宮に戻って、うるさい朝廷の役人共を黙らせてくるから、それまでに支度をしておいてくれるか?」
「わ。わかりました」
私が返事をすると、カイリ殿下は私の手を取り口元に引き寄せると
「では、のちほど」
っと告げ、王宮に帰って行った