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36.甘えられない私は…

(え??お屋敷に戻られたのでは?!)


殿下は、そのまま部屋に入ってきて、ベッド際に腰掛けた

私の頭の上にポンと手を置くと、体調に変わりはないかと聞いてくる


特に変わったこともないので、そんなに心配されることもないと思うんだけど……


っと思っていると、頭の上に乗せた手でスルリと頬をなぞられる


(あーーー!わーーー!!ちょっっっ!!!)

意識すればするほどぎこちなくなってしまう

緊張とドキドキで、もちろん顔は上げれないし、表情なんて見せられたものじゃないっ!!


なのに!!


殿下は顎に指を添えると、クイっと私の顔を上向きになぞる


(ひゃぁぁーーーーっっ!!!)


ぎこちなく歪んだ表情をあらわにされた挙句、ばっちりカイリ殿下と目が合った


(無理~~~!!何が無理なのか分からないけど、気にすれば気にするほど………!!)


私がドギマギしていると、カイリ殿下は目を閉じ、「はぁ…」っと小さく息を吐き、再度私の頭の上に手を戻すと、ポンポンっと優しく撫でながら、そのまま私を胸元に抱き寄せた


カイリ殿下の胸に顔を埋める形で優しく頭を撫でられる。口数は少ないけれど、その手から伝わる優しさに、無駄に強ばっていた力が抜けていく


なんだか暖かい気持ちになって、上着を掴んだ


「ん?どうした?」

それに気づいたカイリ殿下は私に声をかける


(いえ、どうもしないんですが……なんかちょっと、ギュッてしたかった……気がしただけで……)


言えない……そんな恥ずかしいこと言えないっ!!


「すまない。嫌だったか?」

「いえ!!!!……あっ!!そんなことはっ!じゃなくて!……えっと………〇×△…」


しどろもどろになりながら、思わず勢いよく否定した割には煮え切らない答えしか言い出せなかった

人に甘えられない性格も、ここまで来ると申し訳ない……


「眠れそうか?」

カイリ殿下は私から手を離し、話題を変えた


なんでわかったんだろ

「………。ちょっと怖い……です……」

正直に言った


さっきの感覚を思い出すと、体がひんやりと冷たくなるようだ


すると、カイリ殿下はベッドの縁に腰掛けたまま私の手を握り

「大丈夫だ。ここにいるから安心して休むといい」


そう言って私をベッドに横たえ、眠るように促した

繋がった手から伝わる暖かさが、私の心を安らげる


「あの……でも、このままだと殿下がお休みになれません……」


私の精一杯の一言だった

こんな言い方しかできない女の子ってどうなの?もっと言い方あるじゃん……


「……ん?」


(え?聞き返してくるの?)

ちょっと想定外です


「……………。」

私は恥ずかしさから逃げるように毛布を被り、カイリ殿下の手をギュッと握り直した


少しの沈黙が生まれる


(ききき……気まずい……)


すると、殿下は私の手を離し、ベッドから降りた


手元の寂しさに不安を覚えつつも、気まずさの方が打ち勝って、毛布を頭から被りすっぽり被り、体を全てを覆い隠して丸くなった


すると、バサッ!っとその毛布が剥ぎ取られ

「苦しくないのか?」

と問われる


身ぐるみを剥がされてしまい、何も隠れるところがなくて、とりあえず顔を両手で隠しつつも、指の隙間からカイリ殿下を見上げる


殿下は着ていた上着を脱ぎ、シャツの衿元をくつろげて、袖をまくっていた

人差し指を立てて、フゥーっと息を吹きかけると、辺りにキラキラした光の粒が舞った


(綺麗………)


その光景に目を奪われている隙に、カイリ殿下はベッドに上がり、私の隣で横になると、毛布を整えて私をその腕の中に収める


「これで良いか?」


ある意味良くないです!!!

心臓の音が漏れる……このドキドキがっっ……!


カイリ殿下は私の髪を優しく撫でながら

『眠るといい』

と囁いた

なにかの魔法が使われてるのか、私はその声に抗うすべがなく、腕の中の安心感のある空間で、眠りについた

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