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32.秘められた過去2
聖堂へ着くと、フェンは相変わらず門前払いだったので、周辺で変わった動きがないか探るよう指示を出した
カイリはルイとルカを連れ、聖堂の裏門から入り、ユミを呼んだ
「みさき様っ!!!」
常に冷静な彼女だが、みさきの額の文様に気づくと、辛そうに顔を歪めた
「ユミ。何か知ってるのだろう?話して欲しい」
「かしこまりました。」
そう言って、ユミは皆をみさきの寝室のある部屋へと案内した
みさきの部屋は窓が大きく、寝室のベッドは月の光に照らされている
ベッドにみさきを寝かせると、ユミが口を開いた
「カイリ殿下。こちらのお2人は……」
「あぁ。私の弟のルイとルカだ」
「王家の方とは存じ上げず、大変失礼いたしました。ルイ殿下、ルカ殿下ご挨拶が遅れました。わたくしは、先代のマリア様に使えておりましたユミと申します。」
「いや。いいよ」
「それより、みさきは……」
ユミは手短に挨拶を切り上げると、苦々しい表情のまま
「少し、長いお話になりますが、私の知っている限りをお話致します。」
と言って、過去を語り始めた。