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29.眠り
声がする……
『許さない』と
声がする……
『皆殺してやる』と
声がする……
『あいつさえ居なければ……』
誰の声かも分からない
負の思念がどんどん頭に流れてくる。もぅ聞きたくないのに、勝手に頭に流れてくる
人々の恨み、妬み、怒り、人を傷つける思念の塊が沢山私の中に入って来る
全て私に入ってくる
痛い、辛い、悲しい、苦しい。寂しい……
感情の波は激しく、打ち付ける波のように……
私はただ、ただ、その負の感情に支配され、
体は、それを拒否するように心に蓋をした。
暗くて、深くて、冷たくて……
お姉様の声がする
『お眠りなさい』
その声に従って、私は何も考えず、何も想わず、ただ、ただ、深い眠りの海へ沈んで行った