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26.お誘い

魔法ってすごい

私も魔法が使えるのだろうか?


お姉様は魔法が使えた

でも、使い方を教えては貰えなかった

『あなたもいずれ使えるようになるわ。その時がきたら。』

そんな感じではぐらかされて、結局教わる前にいなくなってしまった……

ソファーでぼーっと考えていると


「みさき様?」

ティーセットを持ってエリちゃんが現れた

慣れた手つきでティーカップにお茶を注ぐ


「あ。ありがとう」

ハーブのいい香りが漂っている


「こちらは、ライラ様からお茶と一緒に贈られてきた御品でございます」

そう言って、小さな黒い蕾がついた植木を差し出す


ライラさん。確か、黒薔薇の御屋敷の人だ

私は後宮見学ツアーのことを思い出した


光の魔力って言ってたよな……

そんな魔力が私に存在するのだろうか?


「薔薇かなぁ?」

エリちゃんに聞くと、


「おそらく、そうかと思われます。どちらに飾られますか?」

「うーん。陽の当たるとこがいいよね?」


「そうですね……。みさき様のお部屋は日当たりも良いですし、折角ですので、お部屋に飾られてはいかがでしょうか?」

「そっか。じゃあ、部屋に飾ろっかな」


エリちゃんは「かしこまりました」と言って、薔薇を持って部屋を出る

すると、入れ替わりでユミさんが入ってきた


「みさき様。カイリ殿下がいらっしゃっております」


殿下の訪問はいつも突然だったりするが、そんな毎日を過ごす度に、この突然の訪問にもあまり動揺せずにお迎えできるようになった


カイリ殿下は、いつぞやと同じグッタリした空気を身にまとって現れ、ソファーに座った

「みさき。宮廷に来てくれないか?」


「はえっ?!」


訪問には驚かなくとも、カイリ殿下の予想だにしない発言には驚かざるを得ない


「ルゥ達が会わせろとうるさい……」

そう言うと、頭を抱えてソファーにもたれた


(断れなかったんだろうなぁ~)


すると、ユミさんが

「カイリ殿下。宮廷へは……。」

と、言葉を濁した


そういえば、前にユミさんに、宮廷へは行ってはいけないと言われたのを思い出した

(あれ?なんでダメなんだっけ?)

そんな風に考えていると


「そうだったな……。」

殿下は何かを思い出したように頷いた


「確かに宮廷は空気が悪い。朝廷の役人も多いし、淀んだ魔力の巣窟だ。そんな場所に連れては行けないか……」

そして、少し考えた挙句


「宮廷から少し離れたところに、来賓をもてなす用に建てられた別邸がある。そちらならどうだ?」

ユミさんに代替案を提示した


「……。お勧めはできかねますが……そちらであればまだ……」


あと一押しでユミさんの方が折れそうな気配


「では、別邸の方で準備しよう。人避けはルイにやらせる。人の認識を偽る魔法をかける。さすれば建物自体そこにあることを認識することは出来なくなる。自分で言い出したんだ。きっちり仕事はしてもらう」


「それでどうだ?」


「わかりました」

ユミさんは、浮かない顔をしつつも私の別邸訪問を許可した


「それでは、明日。迎えに来る」


そう言って私に手を差し出した

その手に自分の手を自然と重ねると、殿下はフワッと少し微笑んだように表情を和らげた


なんだか胸がキュンとする……

少しの穏やかな時間が過ぎると、私の手を名残惜しそうに離し、宮廷へと去っていった

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