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23.お約束の朝

チュンチュン……

鳥の鳴き声で目が覚める

そんなお約束のシチュエーション


目が覚めると、私はベッドに寝ていた

昨日はあのままソファーで寝落ち……くらいの所までは記憶にある


う~ん………

モゾモゾ寝返りをうとうとすると、


「……ぅん……?」

耳元に吐息がかかる

くすぐったい


私を後ろから抱きすくめる形でカイリ殿下が目を覚ます


腕がゆるまると、私は対面する形に寝返りをうった

殿下は再び私の顔を胸元に抱き込み、頭を優しく撫でながら

「まだ寝ていて良いぞ」

と、寝起きの少しかすれた声でつぶやく


人肌の温もりが気持ちよくて、私はウトウトして二度寝の誘惑に負けた


程なくしてパチっと目が覚める

私がきちんと覚醒すると、カイリ殿下は腕のホールドを緩め、半身を起き上がらせて私を見つめる

「おはよう」

窓から差し込む朝陽にカイリ殿下の長めの髪が透ける


「おはよう……ございます………」


少し恥ずかしくて、シーツを手繰り寄せて顔を隠す


カイリ殿下は起き上がると、ベッド脇に置かれていた上着を手に取りサッと羽織る

指を宙に絵を描くように動かすと、一対の鳥が現れた

その鳥の1匹を片手でパッと飛び立たせる

すると、残った鳥が肩に乗り喋り始めた

『おはようございます。カイリ殿下。お休みいただけましたでしょうか?』

フェンさんの声だ


「あぁ、よく眠れた。そちらはどうだ?」

『朝からトキ殿下の方へ向かわれています』


「待ち伏せか……。だが、あちらにいるなら好都合だ。一旦私邸へ帰る」

『本日の演習はいかが致しますか?』


「予定通り行う」

『かしこまりました』


短い会話を終えると、鳥はスッと消えていった


「演習ってどんなことするんですか?」

私は盗み聞きした会話の内容に触れた


「ん?見に来るか?」

「え?いいんですか?」


「構わない。ルゥ達の魔力特性上、辺りへの影響が少ないだろう。だが、遠目がいいかもしれんな」

「ルゥとはどちら様ですか?」


「あぁ、弟達のことだ。名前は『ルイ』と『ルカ』と言うので、まとめて『ルゥ』と呼んでいる」


「もうフェンとは一緒にいても平気か?」

「た……たぶん…」


「では、フェンに任せるとしよう」


予定が決まったようで、殿下は部屋の扉に手をかけると、こちらに振り向いて

「今日はよく眠れた。ありがとう」


そう言って、去っていった

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