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170 ★番外編★ 猫との遭遇3

フワフワと、意識が戻ってくる

私はカイリ陛下の腕の中で目を覚ました


髪をサラサラと撫でられながら、ソファーの上、いや、カイリ陛下のお膝の上で


カイリ陛下の癒しの魔力に転がされ、心地よい食後の空間のまどろみを堪能する


カイリ陛下は、私が目覚めたのを確認すると、満足そうに微笑んだ


「そろそろフェンが報告に来る頃だ」

そう言いつつも、私を離す気は無さそうだった


コトンコトン、と

こちらに近づいてくる足音が聞こえる

「カイリ様」

フェンさんの声だ


「猫はどうだ?」


「はい。先程檻を仕掛けました。私の結界魔術とロイの魔力を応用してますので、しばらくしたら捉えられるかと存じます」

胸元に手を当てて、フェンさんがカイリ陛下に報告を続ける

「大分、聞いていたものとサイズ感が異なっておりまして……」


あの白猫のことかな?

私がカイリ陛下とフェンさんを交互に眺めていると、カイリ陛下は私の頭にポフンと片手を置いて頭を撫でながら説明してくれる


「みさきも見たあの猫は、使い魔だ。普段は飼い主から魔力が供給されているが、何かの理由で飼い主がい亡くなったんだろうな。野良になった使い魔は、供給されなくなった魔力を、時間を人から奪う事で養分にするんだ」


「魔力じゃないんですか?」


「ん?魔力は基本的に外から奪うことは難しい。触媒を通してなら話は別だが、本人の意思無しにはどうこうできるものでは無い」


そうなんだ

だからその人が生きた時間を?

むしろそっちの方が持っていくのが難しそうに思うんだけど……


「猫の使い魔は時を超えて生きることができると昔から言われている。だからかもな」


使い魔ってなんかすごい存在なのね

ただのペットみたいな感覚だった……


「失礼致します。」

気づいたら、フェンさんの隣に、音もなくロイさんが立っていた


「カイリ様。檻に反応がありましたので、猫が捕まったようです」

ロイさんは、カイリ陛下の指示を待った


「そうか。ここに連れてこれるか?」


「「……………。」」

従者の2人は顔を見合せて、少し困った様子だ


それを察して、カイリ陛下が、私を自分の膝の上からソファーの上に下ろして立ち上がった


「トキを連れてこよう」


とうの本人を部屋から連れ出すべく、トキ陛下が引きこもってる部屋に足を向ける

私もカイリ陛下の後を追って、トキ陛下のお部屋に向かった


部屋の前まで来ると、カイリ陛下は、容赦なく部屋のドアを開けた

「トキ。行くぞ」


少年トキ陛下は、部屋の隅までトコトコと小走りに逃げ、窓のカーテンをぎゅっと握り、陰に隠れた


カイリ陛下は、トキ陛下の目の前まで歩いていき、手を差し出した


「ほら、大丈夫だ。一緒だ。怖くない」

少年トキ陛下は、すんなりカイリ陛下の手をぎゅっと握って、ドアの入口に立つ私を不安な目で見つめた


わ……私が一緒にいるのが原因……ですかね?

なんとも複雑だ……

怖がられてる?のか?

嫌われてる?のか?

どっちにしても、ダメージは大きい


ううぅ……辛い……

でもそうか

私のせいでトキ陛下は、こんなことになっちゃったし

そうだよね……

なんか…………うん………私が猫を触ろうとしなければこんなことには、ならなかったかもしれない

むしろ、私が噛まれていたら、私の幼少期なんて、ただの普通の子供だ


考えれば考えるほど、落ち込んでしまう


「ロイ。案内を。」

カイリ陛下が出発を宣言すると


「かしこまりました」

私の後ろからロイさんの声が聞こえた

ほんと、気配も物音も全くしないから、こっちは結構びっくりする


「あの……」

私は行かない方が良いのだろうか

役に立つこともないし、なんならトキ陛下には避けられてるし、私がいても迷惑……


「みさき様は私が」

フェンさんが私に手を差し出した


「あ。いえ……私行かない方が……」

ネガティブモードに入った私はお留守番を提案した


「行くぞ?」

カイリ陛下が振り返って、私に目線を送る

少し申し訳なさそうにするカイリ陛下は、トキ陛下を大事そうに誘導して扉に手をかけている


私のネガティブモードなんて比べ物にならないくらい、カイリ陛下も寂しいのかもしれない

不安なのかもしれない

ふとした瞬間に見るカイリ陛下のそんな表情を、私は何度か見たことがあった


「は…ぃ。」


私たちはロイさんの案内で、犯人の猫の元に向かった

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