166★番外編★ダンスレッスン
私はラディアさんのエスコートで今日も今日とてダンスレッスンに明け暮れた
トキ陛下はメリナさんの指導で、私と同じくらいぎこちない動きをしている
フロアの端に置かれているソファーで休憩していると、
「みさきぃ~~。」
っと根を上げて抱きついてくるトキ陛下に
私は
「踊れないのは意外でした」
と。正直な言葉を口にした
「………。元々、引きこもっていたから、社交の場に行くことも無くてね。必要なかったんだ」
「でも、その他のことは器用にこなされているように思いますが……」
「ううっ。そうだね……」
そう言うと、私の手にそっと触れる
「今は少し慣れてきたけど、昔は人に触れることが怖かったんだ」
トキ陛下は、私の手の甲を撫で、指を絡めとる
そういえば、私は自然と触れ合っていたから忘れていた
以前は拘束具だと言って黒い手袋をしていた
幼い頃からずっとなんだ
「魔力特性…ですか」
トキ陛下はコクリと頷くと、絡めとった手を口元に掲げて話す
「だから、こうして手を取り、触れ合う事ができるのは、極一部の人のみなんだよ」
そのまま口元に手を引き寄せると、チュッと指先に口付けを送る
「僕はみさきだけに触れていれば、それでいいんだけど」
そう言って熱い眼差しを私に送る
紫色の瞳を見つめると、そのまま吸い寄せられるようにトキ陛下の腕の中に収まった
首元をトキ陛下の指がなぞる
甘い空気が辺りに漂いはじめた
いやいやいやっ!!
そんな甘い空気に騙されませんよ!
私はトキ陛下の手を取り、立ち上がって
「トキ陛下!練習致しましょう!」
と、勢いく言った
「ん~~。みさきって。こーゆー時流されてくれないよね?」
いえ。流されかけました
トキ陛下の甘やかし術の手のひらの上です。はい
トキ陛下は、大人しく立ち上がり、
「みさきが相手をしてくれるなら頑張れるかな?」
と言って、腕を引き寄せ、ダンスの姿勢を取った
私はエスコートされるままトキ陛下と踊った
練習の成果なのか、ちょっと上手くなったんじゃない?って思えるくらいにはスムーズにフロアを一周した
「みさきさん、カイリくんとは全然噛み合わなかったけれど、トキくんとは上手く踊れるわね」
「これをカイリくんが知ったら、嫉妬するんじゃないかしら(クスクス)」
トキ陛下は、踊り終わると、そのまま私を抱き上げて、
「上手に踊れたからご褒美を貰えるかい?」
と言って、チュッとおでこに口付けた
「えっ!!?」
ご褒美とは?何を差し上げればっ!!?
すると、耳元で少し低めのトーンで
「さっきの続きをしよ?」
と囁かれ、チュッと耳にキスをされる
「ァ……ッ……。」
ゾクゾクする感覚に声が漏れる
「あれ?耳弱かった?」
そう言ってフーッと息をふきかけて、ペロリと舐められる
「…ァッ……ンンッ……」
私は体がザワザワする感覚に慣れなくて、ギュッとトキ陛下にしがみついた
「そんな可愛い反応されると……手加減、できなくなるけど……良いかい?」
私は呼吸が整わないまま、トキ陛下の胸元に顔を埋めてグリグリと頭を横に振った
「フフフッ。では、今日はこの辺で終わりにしましょう。みさきさんは、だいぶ上達されたから、これからはトキくんとペアで練習をされるといいわ。明日はお休みにして、今晩はお2人でごゆっくりお過ごしになって」
こうして、舞踏会までの数日、私はトキ陛下と練習をして、本番前日を迎えた