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163★番外編★トキ陛下の外出

カイリ陛下とトキ陛下は、新しい国家の樹立に、連日大忙しらしい。


王妃というからには、御屋敷に一緒に住むのかなって思ってたけど、何でも、今大改装中だそうで、私は教会でこれまでと変わらずのんびり暮らしている


2人は毎日空いた時間にちょっと教会に来ては、バタバタと帰っていく生活をしていた


そんなある日のこと


「みさき。明日から僕は地方視察に行かなきゃならない」

トキ陛下は、ソファーで私を抱き抱えながらそう言った


「あの……解放していただけたり……」


部屋に来るなり、有無を言わさず私を抱き上げ、ソファーにそのまま座って私を離してくれない


「カイリがどうしても行けって言うから……明日から暫く会えないんだ……だから今日だけは僕の好きなだけみさきに触れさせて欲しい」

そう言って私の頬をなぞると、チュッとキスを送られる


好きなだけって、どれだけですか??!


「大人しくもっと早くから外に出ていれば、こんなに長い期間不在にしなくて良かったはず。自業自得だ。」


カイリ陛下は向かいのソファーに座って足を組み、ピシャリと言ってのけた

地方って、第4都市の教会に行ったみたいに、あんな感じで各都市を回っていくのだろうか


「とりあえず、今日は好きにしていいが、明日からは大人しく出発してもらうぞ。ロイにはもぅ準備は済ませて貰っている」

「では、私は残りの仕事を片付けに帰る」


そう言ってカイリ陛下はソファーから立ち上がり、私の前に来ると、頭にポンと手を置いた

そのまま髪をサラリと撫で

「明日、また来る」

と言い残して宮廷へ戻っていった


一国の王ともなると、お忙しいんだわ


でも……


「トキ陛下……あの。やっぱり離して……」

トキ陛下は、私を膝の上に乗せて首元に顔を埋め、ぎゅっと抱き締めたま離してくれない


「ん?嫌?」


首元にかかる吐息がくすぐったい


「……………デス」

「ん?」


「お顔……見れない…デス」

私は言葉を振り絞った


トキ殿下は、『あぁ』っと言って、腕を緩めて私をふわりと持ち上げると、対面になるように膝の上に座らせて私を見つめる


えっ?!

目線が同じ高さになった状態で、腰に手が回され、私はトキ陛下の肩に行き場のない手を置いた


「あのっ……これはこれで……」

想定外です

近すぎる……さっきよりも恥ずかしいかもしれない……

私は片手で口元を隠した

目が泳いでしまう


「これでよく見えるね?」

トキ陛下は満足そうに微笑むと、私を見つめる


確かに見えますけどっっ……

こんな予定では……


「そうそう。みさきには、僕がいない間、カイリと食事を共にして欲しいんだ」


「?」

なぜ食事?


「あのね。カイリは僕がいないと、食事をサボる癖がある」


「え?サボる?食事をですか?」

いやいや。サボるって言うんです?食事って


「魔力が高い僕らは、別に食事からエネルギーーを摂取しなくても問題ないんだ。」


そう言うものなの?

魔力がある人は食事しなくても生きていけるってなんかすごい


「でもね、食事は五感を鍛える。感覚が無くなれば身の回りの危険なことに気づけないからね」


そういえば、初めてトキ陛下に会いに行った時

にもそんなこと言ってた気が……


「以前、食事に毒を盛られたことがあってね。普段なら気づけるから魔法で対処してしまうんだけど、その時も食事を口にせず、あまり睡眠も取れてなかったんじゃないかな?危うく死にかけるとこだったよ。」


「そ!そんなに!?」

命に関わるってよっぽどなのでは?!

五感ってそんなにも大切なのか……


「人のことは気にかけるくせに、自分のことになると、途端におざなりになるのがカイリの悪い癖だね」


カイリ陛下は、色んなことを気遣ってくれる

でも、自分のことをそんな適当に考えていたらダメだ!


「みさきも、カイリがうっかりお酒を飲んじゃって、誰彼構わず口説き始めたら、嫌でしょ?」


あーーーーーーー

危険だ………

嫌というより、危険だ…………

あの色気に当てられたら、死人が出る……


「一緒に、食事、します。」


「ん。そばにいて見張っていて欲しい」


食事を見張る……

トキ陛下は、自主的に幽閉されていた時も、毎日朝食を一緒にとってたって言ってたっけか


きっと、カイリ陛下が食事をサボらないようにするためだったんだろう


忙しい今だからこそ、余計気をつけないと、何かあってからじゃいけないもんね!

私は謎の正義感で、カイリ陛下にきちんと食事をしてもらうという任務を遂行するべく意気込んだ


「よし、じゃあ、僕にも1週間分食事させてくれるかい??」

そう言って、トキ陛下は腰から背中を伝って後頭部に腕を回した


「食事?!」


「うん。食事」


トキ陛下は目を細めると、私に甘い視線を送る

そして、腕を引いて私の唇を下からペロリと奪った


私はトキ陛下の肩に手をついて甘い視線を見下ろす


「はい、あ~ん」


言われるがままに口を開けてトキ陛下のキスを受け入れると、その甘く痺れる魔力に力が入らなくて、もたれ掛かるように崩れた


甘くて刺激的な魔力に全身が支配されるように広がっていく


「ぅ…ん……ンっ………」


もぅ色々と考えられない

フワフワした思考は、本能のままにその刺激的な魔力を求めた


「デザートは別室で頂こうか?」

そう言って私を抱き上げると、トキ陛下は奥の寝室に向かって歩みを進めて行った

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