162.★番外編★ 祝賀会3
「おまたせ。あれ?」
祝賀会の場を閉めて、中庭に戻ってきてみると、カイリに、抱きしめられながら、みさきまでスヤスヤと眠っている
「慣れない場で疲れたかな?」
みさきの隣に座り、前髪をサラリと撫でると、
『………ぅんっ……』
と、悩ましげな吐息を残した
(全く……無防備だな~)
カイリの腕を解いてみさきを自分の膝の上に抱き上げる
彼女は僕の腕の中でも起きることなく、愛らしい寝顔のまま眠っている
その愛おしい姿に、髪にキスを落とした
(さて、カイリの方は~起こすか……)
さっきまでみさきを抱きしめながら眠っていたカイリの寝顔を見つめ、
「カイリ……」
と、ポソリと呟いて、額を指でパチンと弾いた
「……っ!!」
顔を顰めながら、目を覚ましたカイリはうっすらと目を開けて、自分の額を手のひらで覆った
「頭が痛い……」
「だろうね」
カイリは起き上がって背もたれにもたれ掛かり、机の上に転がっているグラスと、こぼれたワインを見ると、納得した表情でうなだれた
「記憶が無い……」
「だろうね」
「みさきは僕が運ぶけど、カイリは自分で歩けるかい?」
みさきを抱き上げて立ち上がると、カイリに背を向けて、帰り道の方向に足を向ける
「はぁ……」っと大きなため息をつきながら、後ろで立ち上がる気配を感じ、そのまま僕は歩き出した
まぁ、フェンがいるし、きちんと歩けるだろう
少し肌寒い夜風を感じながら、空を見上げると、星にかこまれて三日月が笑っているようだった