161.★番外編★ 祝賀会2
鳥籠の中のベンチに座って、トキ陛下から預かったワインをカイリ陛下に差し出した
「トキ陛下に届けてって言って渡されました。あの。甘くてすごく美味しいです」
カイリ陛下はグラスを受け取ると、
「ありがとう」
と言って、コクコクとワインを飲んだ
そして、持っていたワインをテーブルに起き、ほおずえをついて私をじっと見つめた
なんか……すごく見られてるんだけど……
その熱い眼差しから目をそらすことが出来ない
甘い視線は、私の頬を赤く染めた
「ななな………なんでしょうか……?」
なんかちょっと色っぽい視線に耐えられなくて、声を発した
「ん?」
何この色気……。ん?っていう一言こんなに色っぽく言える人おるん?
なんだか様子がおかしい……
カイリ陛下は、私の頬にスっと手を伸ばした
私の頬を指で弄びつつ
「月夜に照らされる君もまた美しい……」
と、甘く囁く
へ?
なっ……なにをっ!!
赤い瞳は私をじっと見つめる
その色っぽい視線に羞恥心が耐えられなくて、目をぎゅっとつぶった
すると、耳元にカイリ陛下の気配を感じる
「君は私を見つめてはくれないのか?」
と囁いて、首筋にキスをおとす
ピクリと体が反応してしまう
そのまま自然と押し倒されると、テーブルに置いたグラスがカランと倒れて、ぶどうの甘い香りが辺りに漂った
口元に指が触れる
「今宵は……」
カイリ陛下は何かを言いかけてそのまま私の唇を奪う
「……ァっ……」
あ……甘……
甘美なカイリ陛下の魔力がぶどうの甘さに混じって流れてくる
この魔力の気持ちよさに抵抗できない……
指はカイリ陛下にからめとられ、
太ももをサラリと撫でられる
口づけは次第に深くなり、カイリ陛下の魔力にトロトロな私は声にならない吐息を漏らすことしかできなかった
首筋、鎖骨、胸元、あらゆるとこにキスを送られ、そのままぎゅっと抱きしめられる
甘い空気が漂っている
どうしよう……カイリ陛下から与えられる官能的な魔力に抵抗できない
でも……ドキドキしすぎて死にそう……
すると、遠くから声が近づいてきた
「僕がいないとこでそんなイチャイチャされると寂しいな?」
あっ………トキ陛下……
抵抗力ゼロな私は、カイリ陛下に抱きつかれたままトキ陛下に目線を送る
「う~ん………」
トキ陛下は腕を組み、机の上に倒れたグラスを見ると、指を顎に当てて、何か考えているようだ
そして、気づいたら動かなくなっているカイリ陛下の髪をサラッと撫でて、
「ワイン飲んじゃったか……」
と、つぶやいた
「……え?……トキ陛下が渡して……って……」
「あぁ、うん。実はね、カイリお酒に弱くって、ワインでも何でも飲む前に魔法でアルコールとばして口に入れてるんだ」
そ…………そうなの?!
「僕がみさきに渡したから安心してそのまま飲んじゃったのかもね……。酔うと無自覚に色気振りまいちゃうから危険なんだ……。」
「まあ、本人は何にも覚えてないんだけど……」
私を抱きしめ、規則正しい寝息を立てているカイリ陛下
首元にかかる寝息がくすぐったい
確かに……あの色気を誰彼構わず振りまかれたら……
危険だ……
しかも、
目覚めたら記憶、
ないんだ……
「丁度いいから、そろそろお開きにしよっか。場を閉めてくるよ。ちょっとまっててくれるかい?」
え?!この体制で?!いや。トキ陛下!!
カイリ陛下どうにかしてから!!
おつきのフェンさんはどうしたの?!ねえっ!!
私の上で眠っているカイリ陛下を退けられる訳もなく、無理な姿勢で首だけ扉の方へ向ける
中庭の入口では、トキ陛下が室内に入るのを見送るように対応してるフェンさんが目に入った
どうにか目線で助けを求めたけど、フェンさんは深々と丁寧にお辞儀をして、そのまま中庭に続く扉を、閉めた……
「……ぅん?」
耳元にカイリ陛下の吐息がかかる
「あっ!!あのっ!!」
こちらの主張はまるで聞こえていないようだ
少し緩まった腕から逃れようとモゾモゾすると、それに反応して、カイリ陛下は私を後ろからしっかり抱き込んで、規則正しい寝息を立てている
収まりが良い体勢にホールドされてしまって
もぅ、逃れられない……
私は、大人しく、トキ陛下が帰ってくるのをこの姿勢で待つことにした